■「いつか神のために写真を撮る人になる」と言われた
――林さんご自身について聞かせてください。どのような来歴を経て写真家に?
林 現在写真家として生きていることは、私の信仰と関わっています。写真を始めたのは、私が大学院生の時。教会に出入りを始めたことがきっかけになっています。その頃には、よもや自分が写真家として今のようなポジションに就くとは思ってもみませんでした。
――教会に出入りするようになった理由は?
林 私の父が病気で他界したのですが、父のことで手一杯だったこともあり、当時付き合っていた女性が教会に入り浸ってしまって、彼女の気持ちを引き戻すために、彼女が教会で何をしているのかを知ろうと思って教会に付いて行ったのが始まりです。ところが、彼女を取り戻すことはできなかった。取り戻せないなら、彼女と一緒に教会にどっぷり浸かってやろうと思って、記録係として写真を撮り始めました。
――甘酢っぱい。いい話ですね(笑)
林 その頃は単に「シャッターを押せる人」でしかなく「写真を撮れる人」ではなかったと思います。でも、教会のために写真を撮っているうちに、写真を撮ることで人の役に立っている、という実感を持つようになりました。そんなある日、まだキリスト教を自分の信仰として持ってはいなかったのですが、教会で、とある女性に「あなたはいつか神のために写真を撮る人になるだろう」と言われたんです。