日本と中国におけるハンセン病の歴史から学んだこととは?

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重監房資料館(群馬県草津町)。特別病室を実寸大で再現、遺物等の資料とともに展示している。 画像は「Wikipedia」より引用

■世間の風潮にとらわれず、自ら経験して考える

――ハンセン病に関するこのような悲劇を繰り返さないために、今の私たちと社会に求められていることは何でしょうか?

活動家  ハンセン病患者に対する迷信や偏見に限らず、何事も人から教えられた話を鵜呑みにするのではなく、自分自身で経験し、感じたことを重視するべきだということです。私の場合は、中国のハンセン病回復村に行ったことで価値観や人生が大きく変わりました。

 それまでは、ハンセン病と聞くと何となく「差別してはいけない」という程度の感覚でいたのですが、そのような姿勢は世間の風潮に迎合していただけなのかもしれません。つまり、時と場所さえ異なれば、自分が安易に差別する側に回っていた可能性もあるということです。中国のハンセン病回復村での経験から、そのことを客観的に考えることができるようになったと思います。

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イメージ画像:「Getty Images」

 現地のハンセン病回復者さんたちは、私のことを本当に明るく優しく温かく迎え入れてくれました。ボランティアで行ったはずなのに、逆に接待されているような感じで。しかも、みなさん心身ともに非常に強かったんですよ。体格がいい自分でさえ、ハンセン病回復村で井戸水をくむ作業は大変なのですが、村のお婆さんたちは楽々こなしてしまうんです(笑)。

――実際に交流しながら彼らの本当の姿を知ることで、ハンセン病の問題をより深く理解し、ご自身の立ち位置をしっかりと定めることができるようになったのですね。

活動家  とはいえ何かを発言する、行動するということは時に人を傷つけてしまうこともありますから、やはり自分自身を客観的に見ることが重要なのだと思います。

――今日は貴重なお話をありがとうございました! これからも内外のハンセン病問題の進展のために頑張ってください。

 ハンセン病患者に対する差別の実態が広く認知され、その改善が図られるまでに、数え切れないほどの犠牲と苦しみがあった。中世の魔女狩り、ユダヤ人のホロコースト、アフリカのアルビノ差別など、迷信と偏見の歴史は悲しくも繰り返す。我々がより良き未来を創るために、苦しい時代を生き抜いたハンセン病患者・元患者から学ぶことは重要だろう。ハンセン病について詳しく知りたい人は、まずはぜひ国立ハンセン病資料館を訪れてみてほしい。

参考:「国立ハンセン病資料館」、ほか

文=深月ユリア

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