富裕層、新型コロナによって23日間で純資産が2820億ドル激増していたと発覚! エリート勢だけがほくそ笑むコロナ禍

「Collective Evolution」の記事より

 

■“コロナ禍”が浮かび上がらせる社会の分断

 何千万人もの失業者が出る一方で、超富裕層が資産を急激に増やしている格好だが、どうしてこのような極端なことが起こるのか。それは億万長者たちの「資産防衛」の戦略がますます巧妙になっているからであるとレポートは指摘している。

 超富裕層は税理士、弁護士、ロビイスト、資産運用会社でチームを組み、莫大な資産をタックスへイブン(租税回避地)に隠し、ケイマン諸島で行われている「慈善信託(charitable trust)」を駆使して税金を免れているということだ。

 こうした方策により、超富裕層が蓄積した富は本国で再配分されることがなくなり、貧しい者は収奪される一方でますます貧しくなるのである。実際、アメリカでは生活水準と平均寿命がじわじわ低下している現実がある。これは、戦争や飢饉以外の歴史ではこれまでほとんど見られなかったことだ。自分たちの子どもが親の世代よりも暮らし向きがよくなると信じているアメリカ人はきわめて少なくなり、統計学は彼らの見込みが正しいことを示しているのである。

「CNBC」の記事より

 そしてこうしたことがなるべく明るみに出ないよう、一部の超富裕層はメディアに多額の寄付をしているという。たとえば「MintPress」による12月の調査では、ビル・ゲイツが「The Guardian」に900万ドル以上、「NBC Universal」に300万ドル以上、「NPR」に450万ドル以上、「Al-Jazeera」に100万ドル、「BBC」には4900万ドルを寄付したと言及している。またベソスをはじめとする一部の超富裕層は、ニュースメディア自体を丸ごと買収することを好むということだ。

 超富裕層が飽くなき利益を追求し、そしてその数が増えていくほどに市井の人々の貧困化が進むことになるようだ。ミレニアル世代の大多数は“アメリカンドリーム”を諦め、資本主義よりも社会主義に一縷の望みを託しているともいわれている。図らずも“コロナ禍”が今日の社会が抱える深刻な問題を鮮明に浮かび上がらせてくれたのかもしれない。

参考:「Collective Evolution」、「CNBC」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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