――いまのヨーロッパで一番面白いのはベルリンだと思います。ドイツは経済的にも元気があって、ベルリンは昔のニューヨークに似て、カルチャーを生み出すパワーに溢れています。石田さんがこれから本にしていきたいと思うテーマは何でしょうか?
石田「ポスト東西冷戦の時代の新たな軋轢と音楽というテーマを追っていて、モロッコ、アルジェリア、エジプト、イスラエル、パレスチナ、レバノン、ヨルダン、シリア、トルコ、イラン、アフガニスタンを断続的に訪ねてきました。2010年代になってからも、イスラエルのユダヤ人によるアラブ音楽が出てきたりとか、歴史と音楽が併走しています。
それからもうひとつ、ナイジェリア、南アフリカ、ジンバブエ ブラジル、エチオピア、ハイチでの現地取材をまとめる本を『1989 If You Love Somebody Set Them Free ベルリンの壁が崩壊してジプシーの歌が聴こえてきた』と同じ判型で作って3部作にするというのが今後の大きな目標です。その前に『ストラグル UKレゲエとパンクの接点』という本を作りたいので写真と文章を整理しているところです」
――実は、石田さんは千葉大学工学部(写真家を多く輩出した画像工学科を持つ)の先輩です。今回、世界の旅についてお話が聞けて良かったです。ありがとうございました!
【写真集情報】
石田昌隆『1989 If You Love Somebody Set Them Free
ベルリンの壁が崩壊してジプシーの歌が聴こえてきた』
(オークラ出版)3000円(税別) 絶賛発売中!
●石田昌隆(いしだまさたか)
1958年千葉県市川市生まれ、千葉大学工学部画像工学科卒。フォトグラファー、音楽評論家。ロック、レゲエ、ヒップホップ、R&B、アフリカ音楽、中南米音楽、アラブ音楽、ジプシー音楽など、ミュージシャンのポートレイトやライヴ、その音楽が生まれる背景を現地に赴き撮影してきた。著書は、『黒いグルーヴ』(青弓社)、『オルタナティヴ・ミュージック』(ミュージック・マガジン)、『ソウル・フラワー・ユニオン 解き放つ唄の轍』(河出書房新社)、『Jamaica 1982』(オーバーヒート)。撮影したCDジャケットは、Relaxin’ With Lovers、ジャネット・ケイ、ガーネット・シルク、タラフ・ドゥ・ハイドゥークス、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン、ジェーン・バーキン、フェイ・ウォン、矢沢永吉、ソウル・フラワー・ユニオン、カーネーション、ほか多数。旅した国は56ヵ国以上。
公式twitter:@masataka_ishida
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