▪︎街で感じた同調圧力と集団心理
ーー撮影していて何か感じたことはありますか?
初沢 プロ仕様に見えるカメラを持って外を歩いている僕に対する周囲からの冷たい視線が、コロナ禍が深まるにつれて強まっていった印象があります。
ーー「自粛警察」という言葉が生まれましたが、そういう立場から見れば、パンデミック下でカメラをぶら下げて街を歩く写真家は忌むべき対象なのかも。
初沢 コロナ禍に外に出て写真を撮ることが写真家にとって不要不急か、ということについては、それがフリーランスの写真家であっても、不要不急ではないということでいいと思うんです。宅配便の人たちが不要不急ではないというのと同じように。
ーーなにかトラブルが?
初沢 撮影時に直接批難めいたことを言われることはありませんでした。でも、毎日SNSに写真をアップしていて、「撮らずに自粛してください」というコメントは何度かもらいました。
それと、「撮られることへの不安」のようなものが空間を共有している人たちにはあったように思います。外出の瞬間が撮られているわけですから、「なぜ自粛をしないのか?」という否定的な意味合いでアウトプットされた際、そこに自分が写っていることへの警戒心ですよね。その強まりにともなって、カメラを持つ者への不信感もより強まっているように感じました。