魔術結社「黄金の夜明け団」の原点、ドイツの知られざる秘密組織「LLL」とは!? 謎に満ちた暗号文書の真実に迫る!
ヴィクトリア女王治下の19世紀末、イギリスは最盛期を迎え、空前の繁栄を謳歌していた。世界に先駆けて進展した産業革命の結果、工業力が飛躍的に拡大し、「世界の工場」とも呼ばれるようになった。
一方、急激な変化は社会の矛盾も増大させ、貧富の格差も増大、労働争議も頻発、同時に、各種オカルト哲学に関心も高まった。
ラファエルやアラン・レオ、ザドキエルなど、現在用いられている技法を編み出した占星術師が排出したのもこの時期だし、1865年のイギリス薔薇十字団、1882年のイギリス心霊研究協会、1887年の神智学協会ブラヴァツキー・ロッジと、心霊主義や神秘主義関係の団体も相次いで結成された。
■「黄金の夜明け団」誕生の背景とは?
1888年、魔術結社ゴールデン・ドーン(黄金の夜明け団)が設立されたのも、こうした時代背景と無縁ではないだろう。
設立したのは、ロンドン警察の検死官も務めていたウイリアム・ウイン・ウェストコット、医師のロバート・ウッドマン、そして、当時から魔術研究家として知られていたサミュエル・リドル・マクレガー・メイザーズの3人である。
設立者の一人ウェストコットは、友人のアレキサンダー・ウッドフォードから託された暗号文書の中にドイツの魔術結社員アンナ・シュプレンゲルの連絡先を見つけ、彼女と文通した結果イギリスでの魔術結社設立の許可を得たとしている。
ところが、このウェストコットとシュプレンゲルの通信については、ウェストコットのねつ造であるとの説も根強い。実際共同設立者のメイザーズでさえ、後の教団内の権力争いの過程で、シュプレンゲルの書簡はウェストコットが書いたものだと述べたことがある。
実際のところどうなのだろう。
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