韓国の性暴力、女性嫌悪、新興宗教…『韓国の若者』著者・安宿緑が語る“ヘル朝鮮”の詳細
『韓国の若者 なぜ彼らは就職・結婚・出産を諦めるのか』(中央新書ラクレ)の著者、安宿緑さんインタビュー。前編では、若者を苦しめる要因となっている苛烈な学歴社会や就職難、若者の精神疾患の罹患の多さや自殺率の高さが語られた。
中編では、韓国社会の抱える女性差別やLGBTへの偏見、新興宗教にハマる韓国の若者の実態について伺う。
■過激化する女性ヘイト、性暴力被害者への「逆告訴」ブームも
ーー韓国で130万部突破した『82年生まれ キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)では、韓国の女性の生きづらさが描かれていました。韓国の男女差別は実際にそんなに根深いのでしょうか?
安宿緑 男性中心主義が強く、「女性は1歩下がる」という社会風俗がまだ根強くあります。就職でも同じ能力だったら女性より男性の方が採用されやすい。共働き家庭でも女性の地位は低いです。
そのため、女性に負担を強いる「結婚制度」に疑問を呈する「非婚」がブームメントになっています。女優のキム・ヘスが「(結婚せず)私の名前を輝かせて生きるのもいい」と発言して女性の支持を集めました。
また、全国に「非婚団体」があります。彼女達は「非婚が人生を豊かにしてくれる」、「生涯独身で、女性だけのコミュニティで暮らしたっていいじゃないか」と主張しています。
ーーフェミニズム団体の主張や、女性達の声が韓国社会で高まっていることに対して、男性の女性嫌悪が高まっているそうですね。
安宿緑 とくにネット上の女性ヘイトは酷いですね。
ーー本書では、性暴力被害を訴えた女性を、訴えられた男性が名誉毀損などで訴える「逆告訴」が非常に増えていることにも触れられていました。
安宿緑 「逆告訴」を扱うことを宣伝にしている法律事務所もあるくらいです。「性被害を受けた女性は堂々と主張するべきではない」「露出の多い女性が被害に遭う」などの偏見もまだまだ強いです。
女性叩きをする男性の言い分として「男性にだけ兵役があるのは不公平」という声があります。男性は義務ですが、女性は志願制ですから。2000年までは、兵役経験のある男女は公務員試験の際に加点される制度があったのですが、フェミニスト団体の反対運動で適用されなくなりました。そのことで、若い男性の女性ヘイトがさらに強まることになってしまいました。
ただ、徴兵制度は性差別意識を助長するが、その根源ではないという研究結果もあります。また、女性嫌悪の傾向は年齢が上がるほど弱まるという傾向があります。
ーーそれは意外ですね。
安宿緑 温情的女性差別と直接的女性差別という概念があって、温情的女性差別は「女だから許してやろうと」とか、自分に都合のいい振る舞いをする女性は大切にするという態度です。
一方、直接的女性差別は、20代によく見られるように「女はクソだ」だと直接攻撃します。年齢が上がるほど温情的になる傾向があり、20代は男女がお互いどれだけ損をしないかで対立しています。
ーー好意的に解釈すれば、男女が同じ土俵で対立できるようになってきた過渡期なのかもしれないですね。
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