同時に5軒の事故物件を借り、5年で死ぬ男・松原タニシ! 本物の怪談を求めて恐怖体験…村田らむが新刊『死る旅』インタビュー

 

■松原タニシ&らむ、タイで恐怖体験

タイでのタニシさん

 本書で、タニシさんは、『赤水門』『いもんた』『サムハラ神社』『弓削神社』『クマヤ洞窟』などなど有名な心霊スポットから、知る人ぞ知る場所まで足を運んでいる。全ては死にまつわる場所だ。本をめくっていくと、タニシさんがタイ旅行をしている話があった。実は、この旅行では僕(村田らむ)とタニシさんはタイで合流している。

「僕は台風で到着が遅れたので、楽しみにしていたシリラート病院の死体博物館には行けなかったんですよね。あと地獄寺も行けなくてとても残念でした。タイで一番怖かったのは、路上に子供が寝ていたのと、ニューハーフが包丁を振り回していたことでしたね」

 そう言われて、記憶がドッと蘇った。タニシさんとニコ生の木村さんと、タイの深夜の心霊スポットを散策した。

 最初人が亡くなった場所を巡ったのだが、正直あまり怖いとは思わなかった。その後、中国人のお墓に行ったのだがここはとても怖かった。ただ心霊的に怖いのではなく、雰囲気がスラム街チックで怖かった。

 日本人がタイのスラム街を深夜にウロウロするのは非常によろしくない。

「これはヤバいですぞ~」

 と心がヒリヒリしたのを覚えている。

 ドキドキしながら角を曲がると、歩道の真ん中に少女が倒れていた。僕もタニシさんも心底ギョッとした。ひょっとして死んでいるのかもしれないと少女をジッと見た。 彼女がくるまっている薄汚れたサンリオのマイメロディの毛布がゆっくり上下に動いているのを見て、ホッとした。

 彼女の黒く汚れた顔は、今でも脳裏に焼き付いている。

 そして、取材を終えて歓楽街ナナプラザで自動車を降りたところ

「ワー!!」

「ウワー!!」

 と大騒ぎになっていた。

 僕は配信用のカメラを渡されていたので、何が起こっているのかとキョロキョロと見回してみた。原因はすぐに分かった。女性(おそらくニューハーフ)がブンブンとナイフを振り回しながら走っているのだ。

 脳内に、

「逃げろ!!」

 という命令と、

「撮れ!!」

 という命令が交錯した。

 職業柄、撮影を継続してしまった。
 

 結局、女性は白人男性に向かって包丁を振り回したが、切りつけることはなかった。彼女は、包丁を持ったまま勢いよくこちらに戻ってきた。タニシさんに「らむさん逃げましょう!!」と言われ、ハッ!! とした。

 ほうほうの体で逃げ出した。

 ナイフを持った人間がこちらに走ってくる場面を思い出して、背筋がゾクッとした。

 その後に心霊スポットだと言われるホテルに行ったが、ちっとも怖く感じなかった。結局『実際に死にそうだ!!』という恐怖の前には、心霊の恐怖は打ち消されてしまうのだ。

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