超有名観光スポットに突如生首! 浮いた首なし遺体と謎の遺書…タイの外国人首吊り事件とは?

■世をはかなんだ男の最期

 人生に絶望した――その男は歩きながらあるものを探していた。幸運と言うべきか、不幸と言うべきか。雑貨屋で、あつらえ向きのロープを見つけた。キロ単位で売り出されているトラックの荷台用ロープだ。6メートルもあれば十分だろう。購入後、男は「ラマ8世橋」に向かった。

 橋の上に立つ。混乱した頭ながら、今、誰かにこの気持ちを伝えたくなった。そして欄干にこう書き付ける。「生きていきたいけど、もう無理だ。君と生きるためにバンコクに来たのに。(Cause I want to live but I cannot anymore, I came to Bangkok to be with you)」

cath i want to..but i can not i came to Bangkok to be you.

 混乱しているせいか、書き損じてしまった。そういえば、首吊り後の死体は悲惨な顔してたな。無残に変形した死に顔を晒すのは嫌だ――男はロープを購入時に得たビニール袋を頭にかぶり、ロープを自らにかけた。そして、飛んだ。

(画像:Shutterstock)

 6メートルのロープが伸びきる。同時に男の首が絞まる音がする。首にかかる衝撃は、男が想像していたものを遥かに超えていた。まるで糸で切られたゆで卵のように胴体は切り離され、血飛沫を上げて水面へと落下していく。遺体が水面に落ちる音がした。静かに揺れる丸い物体を吊るす橋桁には、塗りたてのペンキのように赤黒い跡だけが残っていた。

 約8時間後、いつもの「ラマ8世橋」の下を通過しようとボートを運転していた男性は思わず叫んでしまった。最初に美しい橋を背後に風にはためいくビニール袋が見えた。そして、何かがぶら下がっていることに気付いたのだ。

 仮説ではあるが、以上がこの事件のあらましであとる。サイト所有者・物理男は、白人男性の首にかかる衝撃を数式で証明している。高すぎる場所から長すぎるロープを使った首吊りは、結果的に恐れていた以上の「無残な姿」を晒すことになってしまった。ロープが首に食い込み、千切れる感覚、落ちていく身体を感じながら、その死の瞬間に、男の目には何が映っただろうか。夜の灯りに照らされる美しいチャオプラヤー川の水面に、男は何を思ったのだろうか。

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文=バンナー星人

2004年よりタイ在住。バンコクの公立学校にてタイの高校生に日本語を教える傍ら、2017年に、高野山大学院通信課程密教学修士号取得。仏教とオカルトが織りなすアメイジングなタイの魅力にとりつかれている。

Twitter : @berialshunnya

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