顔の巨大化と変形が止まらない男のポジティブ人生! 家族の愛とSNSに救われ、日々を謳歌する姿が教えてくれること=ブラジル
ブラジル・ミナスジェライス州パラ・デ・ミナスに住む男性、フリオさん(35)は、重度の神経線維腫症I型をもって生まれ、現在は顔面を腫瘍で覆われている。
神経線維腫症I型は「レックリングハウゼン病」とも呼ばれる遺伝子疾患である。カフェ・オ・レ斑と神経線維腫を主な症状とし、骨や眼、神経系などにもさまざまな症状が現れる。第17番染色体にある遺伝子の異常によって、たんぱく質「ニューロフィブロミン」が欠如することで発症するといわれる。ニューロフィブロミンには細胞の増殖を抑制する働きがあるため、これが作用しなくなると、細胞が無制限に増殖して腫瘍と化す。今のところ完治を期待できる治療法は存在せず、腫瘍を手術で切除するなどの対症療法が原則である。
「私の夢はこれらの腫瘍を取り除く外科手術を受けることです」と語るフリオさんは、顔面の大きな腫瘍が目に悪影響を与えるため、常に絆創膏を貼っていなければならない。そうすることで、ゴミや感染症から目を守っているのだ。
フリオさんを生後9カ月から育てている女性、マリアさんは「あなたの世話をすることを決してやめない」と彼に約束する。フリオさんと血のつながった母親は、医師から長く生きられないと言われた息子をマリアさんに委ねた。母親は赤ん坊のフリオさんをマリアさんの腕に抱かせて、「私のためにこの子の世話をしてくれませんか?」と言った。そんなフリオさんをマリアさんは愛情深く育ててきたのだ。
腫瘍が大きくなっていくことにフリオさんは苦悩し続けてきた。子供の頃は、誰もが自分を凝視するため、恥ずかしいと思った。教師たちからも嫌われた。そのため、隅で静かにしているしかなかった。現在でも時々、フリオさんは偏見に満ちた言葉を浴びせられるが、そうした言葉にはもう戸惑わないという。
「私にとって、フリオと一緒に成長したことで、学びの多い経験ができました。今でも、彼の生き方を見て、毎日学んでいます。なぜなら彼は、不平を言いたくなるのが当然の状況にもかかわらず、あらゆることに努力してきた人だからです。私たちは彼が何かに不平を言っているのを見たことがありません」(姉のアデリアさん)
最近、フリオさんは姉妹と一緒に動画撮影し、それをSNSで公開するようになった。中でもダンスがお気に入りだ。フリオさんがSNSで有名になっていくことに対して、マリアさんは「すばらしいと思います。誇らしいです」と語り、「私たちが死んでも、名声は残りますよね?」と付け加えた。
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