黒魔術の“材料”にされるアルビノの子供たち! 粉末にした身体が闇で流通、背後に政治家の影も=アフリカ
遺伝的にメラニン色素が欠乏し、生まれつき皮膚や毛髪などが白化した人々が「アルビノ」である。アフリカ諸国において、アルビノは肌の色が原因で差別されるだけでなく、殺害されたり身体の一部を奪われたりする「アルビノ狩り」にも苦しめられている。アルビノ狩りは国際的に非難され、各国が法制度で規制しているにもかかわらず、根絶には至っていない。その背景には、伝統的に信じられてきた「ムティ」と呼ばれる魔術の存在がある。
ムティはズールー語で「薬」を意味し、ムティを専門とする呪術医は「サンゴマ」と呼ばれる。もっとも、すべてのムティがアルビノ狩りなどの犯罪に関わっているわけではない。サンゴマの力は祖先の霊に直接つながっているか、その生まれ変わりに基づいているとされ、サンゴマはしばしば紛争の仲介者としての役割も担う。また、相談者の魂を癒し、壊れた心を修復し、幸運を促進するのもサンゴマの重要な仕事である。ある調査によると、南アフリカ共和国の人口の80%以上が、年に1回以上サンゴマに相談したことがあるという。
アフリカ諸国で活動する30万人のサンゴマのほとんどは黒魔術を非難する。彼らが治療で使用するものは木の根や樹皮、ハーブ、花などの植物がメインで、ある種のハーブ療法と考えられる。一部のサンゴマは、ワニやゾウ、ライオン、ハイエナなどの動物のさまざまな部位から作られた薬を使用し、密猟の問題と絡んで疑念を持たれることはあるものの、人間に危害を加えることはない。
一方で、サンゴマの中には、特定の顧客の要求に応じて殺人に手を染める者たちもいる。死者の体の一部を粉砕して作った薬は、脳卒中などの病気の症状を緩和するだけでなく、精力増強の効果もあると信じられているからである。また、死者の体の一部は、幸運をもたらすお守りとしても使用される。そのため、ムティが動機で殺害される人が年間300人近くに上るといわれる。しかも、子供の肉の方が大人の肉よりも「純粋」で価値があるとされ、子供が被害に遭うことも少なくない。
黒魔術としてのムティではアルビノが貴重な素材とされる。サンゴマは儀式と薬の効果を強めるため、アルビノの身体の一部を使用する。苦痛を伴う悲鳴が効果を高めると信じられているため、生きているアルビノの身体を切断することもある。黒魔術で使用される身体部位は、地域や国を超えた闇市場で高額で取り引きされる。たとえば、タンザニアでは、アルビノ1人の身体で600~75,000ドル(約7万~860万円)の値が付くという。こうした事情から、アルビノは追い詰められ、誘拐され、迫害される。
身体の一部を切断されて生き残ったアルビノの多くは、誰からの保護も受けられず、絶え間ない恐怖と孤立の中で生きることを余儀なくされる。恐怖のあまり家を出られない人々もいる。さらには、アルビノが不幸をもたらすという迷信から、コミュニティがアルビノを追放することも少なくない。迷信の根拠となる神話や伝承では、アルビノが幽霊や魔術、呪いなどと結びつけられ、人間でないと語り継がれている。
各国でアルビノ狩りを禁じる法律が制定されているものの、アルビノ狩りで裁判にかけられて有罪判決を受ける者は少ない。この背景には、闇市場で流通する身体部位の犠牲者や、これらを購入した者たちの身元などを明らかにするのが難しいという事情がある。また、アルビノの身体部位を購入するのが裕福な政治家やエリートだと、実質的に国家権力は介入ができない。タンザニアでは、選挙期間の前後にアルビノ狩りが増加するが、これは一部の政治家が黒魔術を使用していることを示唆する。
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊黒魔術の“材料”にされるアルビノの子供たち! 粉末にした身体が闇で流通、背後に政治家の影も=アフリカのページです。お守り、黒魔術、迷信、アフリカ、アルビノ、薬、呪術医、標葉実則などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで