「810万円分の胃袋」持つ女を病院で開腹した結果…! 異食症患者が抱える深刻な問題とは!?

 栄養のない非食用物質を1カ月以上にわたって持続的に食べ続ける病態は「異食症」と呼ばれる。患者は紙や粘土、土、毛、チョークなど、毒性のないものを摂食することがある。妊娠中の女性が鉄欠乏性貧血となり、無性に氷を食べたくなる「氷食症」もその一種とされる。通常、異食症によって深刻な害が生じるケースは少ない。しかし、摂取物が詰まることによる消化管閉塞、塗料片を摂取することによる鉛中毒、土を摂取することによる寄生虫感染症などの合併症が発生することがある。

 異食症の重症事例は、世界各国でニュースとなってきた。英紙「The Daily Mail」は先月、リトアニア・クライペダにある病院で行われた男性患者の手術について報じた。患者は激しい腹痛で入院し、X線撮影の結果、胃の中に最大10センチの金属片がいくつもあることが判明した。これらの金属片は釘とネジで、3時間の開腹手術ですべて取り除かれた。患者は、禁酒を始めた1カ月前から釘などを飲むようになったという。

 同様の事例は、2019年7月にも英紙「The Daily Mail」で報じられた。インド西ベンガル州マーガルムに住む女性のルーニー・カトゥーンさん(当時26歳)は、腹痛と毎食後の嘔吐が1週間続いたため、ランパーラット州立医科大学病院に入院した。そして、エコー検査とX線検査でルーニーさんの胃の中におびただしい数の金属があることが明らかとなった。

 ルーニーさんは痩せ衰えて衰弱していたため、すぐに手術を行うことができなかった。容態は非常に深刻で、少なくとも5パック分の血液を輸血しなければならなかった。ルーニーさんは食物を摂取することができなくなっており、中心静脈栄養(TPN)が投与された。患者の健康状態は安定し、入院から1週間以内に手術が行われた。

 外科医のシッダールタ・ビスワス博士主導で手術は約1時間15分続き、ルーニーさんの胃からチェーン69本、イヤリング80個、コイン46枚、ロケットペンダント8本、鼻ピアス11個、キー4本、アンクレット5本、時計の文字盤1個が取り除かれた。これらのほとんどは銅と真鍮製だったが、中には高価な金の宝飾品もあり、その価値は5万3千ポンド(約810万円)相当だった。シッダールタ博士は「もっと手術が遅れていたら、彼女は生き残れなかったでしょう」と語った。

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