「クジラの手」の解剖写真が想像以上にホラーだった! 5000万年の“進化の秘密”を物語る壮絶ビジュアル
デンマークの研究者によって、クジラの解剖写真が公開された。クジラのヒレを解剖すると、我々と同じような“手”が出てきたというのだ。
■クジラの先祖は陸地を歩き回っていた
5000万年前のクジラは陸地を歩き回っていた――。その動かぬ証拠となる写真が研究者によって公開されている。まるでホラー映画に登場するモンスターの一部のようなおどろおどろしいビジュアルだが、クジラの“ヒレ”の実体は、陸上の哺乳類と同じ“手”だったのだ。
デンマーク自然史博物館館の脊椎動物学の助教授で爬虫両棲類学の学芸員であるマーク・D・シェルツ博士は、今月初めに海岸に漂着したクジラの死体を解剖し、ヒレの構造を明らかにした写真をツイッターに投稿した。
「ヒレは哺乳類や爬虫類のさまざまな系統で、毎回異なる方法で繰り返し進化してきました。基本的な構造は5本指の手足ですが、特定の構造は(種によって)とても大きく異なっています」(シュルツ博士)
クジラのヒレの肉の下には、しっかりと5本の“指”があり、これは人間、両生類、その他のさまざまな動物にも見られ、共通の祖先を示しているということだ。古代のクジラの先祖は陸上を歩き回り、水場や水中でエサを捕獲していたのである。
クジラの祖先が陸上の動物であったことを示す新しい証拠が、2008年にパキスタンで発見されている。古生物学者のハンス・シューウィセン氏と米ノースイーストオハイオ医科大学の研究チームは、かつてインドハイアス(Indohyus)と呼ばれる生き物が、餌を求めてカバのように水中を歩いていたことを確認した。完全に水棲のライフスタイルを持つ生物であった。
このインドハイアスをより深く分析したところ、研究者たちはインドハイアスとクジラの両方の頭蓋骨と耳の間に類似点を発見した。つまりインドハイアスは、5000万年前に陸上から海を目指したクジラの祖先であると考えられるのだ。
また研究チームはインドハイアスの骨は、このサイズの他の哺乳類よりも外側の層がはるかに分厚いことを見出した。この特徴は、今日のカバなど、水棲哺乳類によく見られるものだ。
■無敵の頂点捕食者であったクジラの先祖
インドハイアスの生態に関する別の手がかりは、カバと同じような厚くて重い手足の骨にあった。水に浮いてしまうことを防ぐための重い骨を持っていたのだ。
この証拠に基づいてシューウィッセン氏は、クジラの祖先が水の中で天敵を回避するメカニズムとして、ずっと後になるまで水中での摂食行動をあえてしなかったことが示唆されてくると説明している。そして最新の証拠が先月にエジプトで発掘された。これまで知られていなかった4300万年前の4本足のクジラ種の化石が発見されたのだ。
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