「エロ過ぎる心霊物件」を園子温監督が所有していると発覚! 映画 『エッシャー通りの赤いポスト』公開記念インタビュー


■園子温「臨死体験と霊界」を語る

ーー運命といえば、園監督は本作の撮影前に心筋梗塞で倒れて死にかけたと聞きます。心境の変化はあったのでしょうか?

 2019年2月に倒れて、6カ月後に『エッシャー通りの赤いポスト』の撮影をしたんだよね。倒れる前日は、徹夜で酒を飲んでて、翌日に二日酔いで郵便局まで走っていったら、そのまま心臓がおかしくなって、救急車に乗せられて、霊界に行ったんですよ。

ーー霊界に!?

 はい、霊界に。1分間、心肺停止していたらしいのですが、自分の体がどんどん上に浮いていき、そのまま宇宙まで飛んでいきましたね。宇宙空間は、とてつもなく綺麗で、気持ちいいな、最高だな、美しいな~と思っていたら、みるみる体が下がり、汚い天井のビジョンが見えたんです。「ウッ、汚いッ、ついに地獄に来てしまった!」と思っていたら、蘇りましたね。実際の病院の天井は大して汚くないのですが、宇宙があまりにも美しかったので、その対比で汚く見えたんだと思います。

ーー三途の川へは? ご先祖さまには会いましたか?

 いえ、1分間しかいなかったので、三途の川とかそういう深い場所には行ってません。先祖とかもまだ出てこなくていい感じで、「来ちゃダメ」とも言われなかった。体感としては、1分よりももっと短く感じましたけど、とにかく気持ちがよくていい体験でした。

 意識が戻ってからは、残りの人生をどう生きるかについて考えるようになりました。できるだけたくさん映画を撮ろうと思ったし、初心に戻ったような感覚もわいてきた。死も怖くなくなりましたし、無心で映画を撮れる状態になって、そのタイミングで『エッシャー通りの赤いポスト』を撮れたのはとても良かったです。

ーー医者から止められたのでは?

 いや、お医者さんはそんなハードな撮影をするとは思っていないだろうから、止められませんでした。でも、実際は『エッシャー』の撮影中に何回かフラッとして、倒れかけたので、危険な撮影だったのかもしれません。

ーー倒れなくてよかったです。

  そうですね。僕は、自分の子供が生まれた2日後に一度死んだんで、実は、赤ん坊より年下なんですよ(笑)。子供より2日年下。新しい命と新しい家族と、僕の復活…やっぱりそこでなぜ自分がこの世に戻ってこられたのかということを考えた時、映画を撮ろうってなるんですよね。

ーー映画愛ですね。

 僕の中の愛ってやっぱり映画に向かうものなんです。映画界は凄く嫌なことも多いし、悪いプロデューサーもたくさんいて、あらゆる面で嫌な目にたくさん遭ってきたのですが、なんとかめげずに突っ走ろうと頑張ってきた。この映画に登場する“小林監督”は自分の生き様に近いですね。

 映画というものに対する絶対的に醒めない愛がすごくあるんです。諦めきれないっていうか、むしろ愛って言っても片思いみたいな感じで、その情熱が大きい。

ーー片思いのほうが“本物感”ありますよね

 片思い、好きですねえ。切ないじゃないですか。それに報われないし。僕、孤独になるの好きなんで、はい。センチメンタルな気分でタバコ吸って、お酒を飲んで、悲しい曲(というか、どんな曲を聞いても悲しく変換できるんですが)を聞いて1人だな~なんて味わっていると悲しみが高まって凄く気持ちよくなって明るくなっちゃうんですよ。僕にとって、悲しみの効用はすごいです。

■アトリエに乳首ペロペロ幽霊が出現

ーートカナのインタビューなので、オカルト体験について伺ってもいいですか?

 うちのアトリエめちゃくちゃ出ますよ。ものすごい怪奇現象が起こるんです。かつて80年くらい前から続いた「日本の料亭」があった場所を借し切っているんですけど、そこは多くの政治家や銀座のクラブのママが通い詰めた料亭で、二階には芸者遊びをする場所まであった。だからか、霊能者に見てもらったら「権力のパワーと性欲のパワーが混在している!」って(笑)。

ーー権力と性欲のパワー……園監督らしいですね。

  僕的にはむしろ歓迎しますって感じで、権力のパワーも身につけたいし、性欲パワーもこれから年とともに減退するから、くださいっていう(笑)。

ーー怪奇現象も起きるのですか?

園  夜中に  「マスター」という声とともにドアが開く音がしたと思ったら、お金持ちの女性たちのきらびやかな声が聞こえてきて、女性の方が訪問したのかなと思って見ると誰もいないんです。

 あと、中庭に大きな堀池があるのですが、水もなくてカラカラなんです。でもそこで「ジャポーン」と水が跳ねる音がしたり。オーブなんかもしょっちゅう写るんですよ。

ーー超ハイグレードなオカルト物件ですね!

鬼才のカリスマ映画監督・小林正を演じた山岡竜弘氏(エッシャー通りの赤いポスト公式HPより

  オナニーをする中学生の霊も登場します。あと、『エッシャー通りの赤いポスト』で小林監督を演じた山岡竜弘くんがそのアトリエのこたつで寝てたら、ベトベトのズブズブに濡れた全裸の小さいおじさんが、こたつの中からハアハア出てきて、乳首をペロペロ舐めだしたらしいんです。

 山岡くんは「や、やめろ!!!!」と牽制したのですが、金縛りで体が動かない。散々舐め回された挙げ句、そのおじさんは静かにまたこたつの中に消えていったそうです。実際に、山岡くん以外にも、こたつ周辺で寝ていると女性の喘ぎ声が聞こえたり、行為中の音が聞こえたりと色々あるんですよ。

ーーすごい話です!ぜひ調査に行かせてください。

ーーハリウッドへの進出が夢だったと語る園子温監督だが、今年その夢を叶え、さらなる成功を目指す傍ら『エッシャー通りの赤いポスト』のような純粋な遊び心と映画愛の塊のようなピュアな映画を「年に2本くらい撮り続けることができたらいいな」と目を輝かせながら語っていたのが印象的だった。トカナ読者としては、”オカルトアトリエ”を持ち、一度死んだ経験もあり、実はシュタイナーやスウェーデンボルグを読み漁っていた過去をもつ園監督のホラー映画を期待したいところだが、とにかく今年は『エッシャー通りの赤いポスト』を観て、自分の運命を切り拓くパワーをもらって来年につなげよう!

「エッシャー通りの赤いポスト」
ユーロスペース他全国公開中!
上映時間:146分 
製作:2021年(日本) / 配給:ガイエ

解説 園子温監督が脚本・編集・音楽を手がけ、赤いポストを中心に映画作りをテーマにした、オリジナルストーリーが展開していく。園監督はワークショップで実践的に生徒を教えた後、ワークショップ参加者が総出演の映画を撮影した。キャストには、藤丸千、黒河内りく、モーガン茉愛羅、山岡竜弘、小西貴大ら新人の他、諏訪太朗、渡辺哲、吹越満が共演する。

ストーリー カリスマ映画監督の小林の新作映画のオーディションには、有名無名問わずさまざまな役者たちが集まった。その一方で、小林監督はプロデューサーの無茶な要求に、脚本づくりがはかどらず、行き詰っていた。そこへ、監督のかつての恋人があらわれるのだが……。

https://escherst-akaipost.jp/

 

文=角由紀子

TOCANA元編集長
Twitter:@sumichel0903

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