「エロ過ぎる心霊物件」を園子温監督が所有していると発覚! 映画 『エッシャー通りの赤いポスト』公開記念インタビュー




 「この映画、ま、じ、で、めちゃくちゃ良いです!! 激アツです」
 かつてないほどの勢いで映画の宣伝担当者がトカナ編集部に持ちかけてきたのは『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』ハリウッド映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』などで知られる、園子温監督の新作映画『エッシャー通りの赤いポスト』(c)だった。

 本作は、園子温監督初の本格ワークショップをベースに製作され、わずか2週間で697人の募集があり、その中から選抜された「51人全員が主役」という異色のインディーズ映画。ドキュメンタリーとフィクションの境界を超えた“リアルにヤバいワークショップ”から紡ぎ出される物語に、試写を見た人々からは早くも「なんという疾走感」「胸が熱くなった」「圧倒的な熱量」「エログロなくても園子温だった」など熱狂的なレビューが聞こえてくる。一体どんな映画なのだろうか? 製作のきっかけや本作に込めた思い、また、トカナならではのオカルト話までを園監督に伺った…そして園監督の超衝撃的なオカルト話のスクープに成功したのだった!


ーー『エッシャー通りの赤いポスト』のスピード感とエネルギーに圧倒されました。どうしてご自身のワークショップを映画化しようと思ったのでしょうか?

園子温(以下、園) 2019年初めに心筋梗塞になったことで、『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』の撮影が延期になってかなり時間が空いたんです。その時、俳優を目指す若者たちとのワークショップの話をいただいたんですが、俳優さんの夢をお金で買うようでワークショップ自体は乗り気じゃなかった。でも、参加した俳優さんと映画を作れるところまでやれるなら面白いかも?と思い直して。「映画も作れるならワークショップやります」と申し出たら、トントン拍子で決まりました。でも劇場公開までは考えてなかったので、自主映画を撮っている時のような、純粋にただただ喜びだけで作っているような感覚でしたね。撮っている間はとにかくウキウキしていて。きっと、公開とかマネタイズとか考えていたらこんなに面白い作品にはならなかったと思います。

ーー「俳優になる」という夢に向かって突っ走る若者たちの青春映画でもありました。

 “青春ぽいもの”が撮りたいと思ったわけではなくて、自然とそうなったという感じです。この映画は、実際にオーディションを受けに来た若い俳優さんたちの人生を僕が想像しながら脚本を書いた作品で、ドキュメンタリーではないけど、ある種ドキュメンタリー的な側面もある。だから若い人たちの人生を考えていたら無意識のうちに自ずと青春映画っぽさが出たんだと思います。

ーー園監督といえば、満島ひかりさんや吉高由里子さんなどの俳優発掘でも有名です。本作でも注目された俳優さんはいらっしゃるのでしょうか?

 うん。もちろんそういうのを期待しているし、このワークショップの卒業生全員が、芝居で食っていけるような人になれたらいいなと思ってますね。

ーー今後、主役級になる俳優のオーラを纏っていた方もいらっしゃったのでしょうか?

  僕は、オーラとかそういうものを感じたことないですし、「女優オーラ」とか全くの嘘だと思っているんですよ。テレビや映画で何回も同じ人を見るからオーラがついているように見えるだけで、有名になる前は何もない。それよりも「運」。売れる共通点は運の要素が大きいですね。

 そもそも、事務所が俳優に対して希望を持ってない場合も多い。よく“事務所の目利きが俳優を見初めて育てた”とか言うじゃない? でも誰も育ててないですから。大抵の事務所は、俳優を所属させて、オーディションに行かせて、それで当たればマネージャーが増えていくという流れ。だから、やっぱり運なんだよね。実際に俳優を育てているのは、演出家や監督のような人たち。『エッシャー通りの赤いポスト』も俳優を育てることがテーマの要素にあるけど、背景にはそんな思いもあるんです。

■運命が変わる「音」を聞いた

ーーなるほど。監督ご自身の「運」は強いほうなんですか?

 僕は良くないです。自主映画時代が15年ぐらい続いて、40歳の時『自殺サークル』(02)で初めて商業映画デビューしましたが、その後も鳴かず飛ばずで、長いことくすぶっていましたね。

ーー『エッシャー通りの赤いポスト』でも運命に抗おうとする若者たちを描かれていました

 僕はある程度、「運命」は決まっていると思っているのです。『エッシャー通り』のエッシャーは、階段を上がったはずが元に戻ってしまうだまし絵などで有名な画家のマウリッツ・エッシャーから取っているのですが、なかなか前に進めない俳優の人生が、まさにエッシャーのようだな、と。赤いポストにオーディションの応募用紙を投函して、自分ではガンガン上に行っているつもりなのに、またポストの前に戻ってくる……。そんな逃れられない宿命から、どうやって抜け出すのかが本作のテーマでもあるんです。

ーーなぜ、運命は「ある程度」決まっていると思うのですか?

 犯罪のドキュメンタリー本などを読んでも、通り魔に刺される人が、なぜかいつもと違うルートを歩いて殺害されたりするケースって多いじゃないですか。まるで磁石で誘われているかのように、運命が動いていくというか。作家のオスカー・ワイルドも自由意志は幻想であり、宿命からは逃れられないと考えていたようで、「磁石と鋼鉄の鑢(やすり)」というショートストーリーがすごく面白いんです。

 昔あるところに磁石がいて、そのすぐ近所に鋼鉄の鑢(やすり)が住んでいるのですが、鋼鉄の鑢は磁石と仲良くすべきか、どうかをみんなで話し合って、“考えた末に”磁石にくっつくわけです。でも、最後一行を置いて『次の瞬間には四方八方から磁石にしがみついた。すると磁石はにやりと笑った。というのも鋼鉄の鑢くずたちは自分たち自身の自由意志でその訪問をしたということに、何ら疑惑を抱いていなかったからだ』と書かれていて。

 この話は「運命」をすごく表してるような気がするのです。自分の意思で生きているつもりだけど、結局、鋼鉄のやすりが磁石にくっつくように、そしてリンゴが地上に重力で落ちるように、決まっているものがある。

ーー決定論ですね。

 そう。だけど「決定論とはまた違う何か」も同時に感じている。僕自身がそうだったからです。若い頃、自分の人生は、このまま何もしなければ、田舎の中で死んでいくだけだと感じていました。でも、手塚治さんの漫画『ザ・クレーター』という短編シリーズの中に、“シナリオ通りじゃないことを、不意打ちでやる”登場人物が出てくる回があって。運命のシナリオから外れるために、いきなり物をパーンと壁に投げつけたら、プログラムされていた音が間に合わないっていうシーンがあったんです。音が衝動的過ぎる行動に追いつかないって話なんだけど(笑)。僕もその漫画読んで、「不意打ちでやろう」と決めて、いきなり家出したんですよ。

「今日、今、今しかない! 後一時間後じゃなくて、今じゃないとシナリオが崩せない!」っていう感じで、家出をした。そしたら、それまであった本来のシナリオがバリバリバリって破れる音が本当に聞こえたんです。

ーーシナリオが崩れる音!

 そうです。その後、東京駅で変なおばさんに拾われて童貞を失いかけつつ、結局そのおばさんとは同棲することになって、この話自体もネタとして僕の映画に何回も登場することになった。結局、あの時家出をして良かったな、あれは僕の芽が出た瞬間だったなと、今も思うんです。これが僕の中の“シナリオ崩し”というもので、『エッシャー通りの赤いポスト』でも描かれています。彼らも、そのまま普通に生きていたら、ちゃんとした俳優にはなれないので、どこかでそういう突破口を開いて、決められたシナリオと決別するような瞬間を持ってほしい、と思っています。

ーーやっぱり、そのときの情動みたいなものに、従った方がいいのでしょうか?
 
 すべてを情動に任せたら殺人も起こしかねないけど、ポジティブな衝動はいくらでもやっていいんじゃないかと思っていますよ。

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