“誰にも見えない友達”がいた… オカルト現象が起きる稽古場オーナー横澤丈二の心霊体験
“オカルトの棲む稽古場”が、私に様々な試練を与え、また、それを諦めずに乗り越えれば素晴らしい結果もついてくる……。自社の設立から2年を経て、ようやく旗揚げ公演もでき、翌年1993年には再演もできたのは、このオカルトの棲む稽古場のお陰だと都合よく思えた自分がいた。と、ここまでが前回までのお話である。
さて、このような怪奇現象…すなわちオカルト現象が起き続けている稽古場の中で、そこまで楽天的に都合よく考えられた自分がいたのには、私の幼少期の経験が影響している。
・幼き日の不思議な出来事
人間にとって最初の記憶は幾つぐらいのものなのだろうか? 人それぞれだとは思うが、私の場合は2歳の夏の頃の記憶が鮮明に残っている。当時まだ全然売れていないファッションデザイナー志望の父と、その父と恋愛結婚した母との間に生まれた2歳頃の僕の生活は、大変な極貧生活であった。場所は杉並区の永福町というところのボロアパートに住んでいた。場所的に言うと有名なラーメン屋の大勝軒の裏あたりになるのであろうか…。今は見る影もない住宅街になってしまっているが、そのボロアパートに僕が住んでいた時の話だ。
確か2歳の7月頃のことだと思う。そのボロアパートでの生活は今ではなかなか考えにくい生活スタイルで、トイレも共同、顔を洗ったり歯を磨いたりする水場も共同。室内の各部屋には電気とガスだけが通っており、台所といっても煮たり焼いたりするだけの猫の額ほどのキッチン。そして六畳一間のみという実に質素な間取りだった。もちろん風呂なしだ。その共同水場の所で、半袖短パンにサンダル姿の自分が1人で水遊びをしていると、必ず、いつの間にか右側の蛇口から水が出てくるのだ。そうすると僕は「あ、来たんだな」と思い、右側に目をやると、スッと浮かんで出て来る女の子がいたのである。
今思うと不思議なのだが、その子は夏にもかかわらず赤いチャンチャンコのようなものを着ていて、下は紺地に白の絣が入ったもんぺ、そして草履を履いていた記憶がある。その女の子が現れると、僕はとっても楽しい気分になった。そして2人でおままごとを始めるのだが、ある時はその子の旦那さん役になってみたり、またある時はその子が演技で病気をしたりすると、水場でご飯を作ってあげて看病したりするような…そんな遊びをよくしていた。普段なら恥ずかしがってやらないであろうおままごとを、何故か自分から率先してやっていたように思う。
・共同水場でのおままごと
それは1日だけの出来事ではない。僕が覚えている限りでは、7月頃に現れた彼女は、おそらく8月の終わりぐらいまでいたような気がする。だが、その女の子と出会ってから三、四日目のことである。一緒に遊んでいると、いきなり母がやってきて「何やってるの丈二くん(自身の名前)」と言うと同時に、その女の子が使っていた蛇口をひねって水を止めてしまったのだ。
僕「やめてよ、ママ」
当時では珍しく、パパ、ママという使い方をしていた。
母「あんた、2つも水を出しっぱなしにしてたら住んでる人たちに怒られちゃうでしょう」
僕「でも、一緒に遊んでたんだから仕方ないよ」
僕はそのようなことを言ったと思う。すると母が
母「そんな馬鹿なこと言わないで。どこにいるのその女の子は?」
僕「え?」
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊深夜のパチンコ屋にうつむきながら入っていく謎の男達と不思議な警察官【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.09.18 20:00心霊奇妙な風習…“引っ張り合う”魂が集う墓地に佇む老婆【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.08.07 20:00心霊“誰にも見えない友達”がいた… オカルト現象が起きる稽古場オーナー横澤丈二の心霊体験のページです。幽霊、怪奇現象、ヨコザワ・プロダクション、ヨコザワプロダクション連載などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで