「魔女狩り」の発端となった女、アーミン・デ・ライムズとは!? 空中浮揚、悪魔が性交… 知られざる実像
アーミンのビジョンの重要性はすぐには判明しなかったが、彼女の経験は実際にキリスト教の歴史における大きな転換点の重要な部分であったと海外歴史メディア「Ancient Origins」の記事は指摘している。ジャン・ル・グラヴールによって作成された彼女のビジョンの記録が、当時の神学者への問題提起となったのだ。
アーミンの経験は当時、ペスト、戦争、教会の分裂という3つの災害によってもたらされた、西方キリスト教が直面した信仰の危機の多くの側面を具体化したものであり、彼女のビジョンは、この激動の時代から生じた変化のプロセスを示していると見なされたという。
しかし、この時代に悪魔学の概念が変化し、悪魔が魔術に関連しているという考えが浮上し始めたため、14世紀後半にフランスで“聖なる女性”になるのは危険な時期だった。悪魔はもはや信仰の堅固さをテストするために設計された単なる悪の代理人ではなく、人体に(自発的または非自発的に)侵入し、精神にも影響を及ぼすことから、悪魔に憑かれる者は魔術の使い手でもあるという疑惑が持ち上がることになる。つまり、アーミンは“魔女”であるかもしれないという視点が生じたのである。
この視点は、ドミニコ会士で異端審問官であったハインリヒ・クラーマーなどにも影響を及ぼし、15世紀に書かれた魔女に関する論文『魔女に与える鉄槌(Malleus Maleficarum)』がその後のヨーロッパの血塗られた“黒歴史”である「魔女狩り」の時代を開くきっかけとなった。
幸か不幸か、アーミンは1396年8月25日に病気の隣人の世話をしている最中に発症したペストによって亡くなり、“魔女”呼ばわりされることはなかったのだが、アーミンの存在が魔女狩りに繋がる新たな悪魔学の端緒となったとも言えそうだ。アーミンが見たビジョンの数々は、今後もまだ興味深い研究の対象になるのかもしれない。
参考:「Ancient Origins」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「魔女狩り」の発端となった女、アーミン・デ・ライムズとは!? 空中浮揚、悪魔が性交… 知られざる実像のページです。魔女、悪魔、キリスト教、カトリック、憑依、ビジョン、アーミン・デ・ライムズなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで