深見東州が暴れまくる怒濤のアニメ『神だのみ入門』に唖然!(カルト映画レビュー)
――フリーライター藤倉善郎(「やや日刊カルト新聞」総裁)、村田らむ、かに三匹の3人が宗教団体製作のカルトムービーを徹底レビュー!
カルト映画レビュー第9回:かに三匹/『神だのみ入門』
■ワールドメイトの教祖を堪能できるアニメ
アニメ『神だのみ入門』は1984年に創設された神道系の宗教団体ワールドメイトが1989~1990年にかけて製作した全13話のシリーズである。漫画シリーズをもとにアニメ化。原作・監修はワールドメイトの教祖である深見東州だ。
同作では、深見東州というキャラクターの強烈さを味わえる。広告などで彼を見かけた人も多いだろう深見東州は実業家や芸術家としての顔も持っていて、主題歌は深見東州本人が歌っていたり劇中の笛の演奏も行ったり声優もしている。そのため、ワールドメイトの思想が詰まった作品となっている。
例えば各巻ラストに表示される「神界ロゴマーク」。さまざまな効果があるというマークの使い方が毎回エンディングの後に解説される。また作中に深見東州の行う儀式のシーンが多いのも特徴である。そうした儀式の疑似体験をすることができるのである。シリーズを通しての主人公はいないが、重要なシーンで深見東州の活躍が描かれる。字数の制限もあるため印象的な巻を中心に見ていく。
■やっぱり最後は深見東州
第3巻の『星ツアーへの誘い』は、ヒロインが深見東州の指導による星ツアーで救いを得る話である。親子間の問題を抱えるヒロイン。彼女は中学生の息子の問題行動に頭を抱えていた。そんな時、幼馴染のミュージシャンから星ツアーに誘われ、白馬に乗った深見東州の指導のもと太陽系の惑星をめぐるのである。なんと木星には神社があって、神様は黄金のシルクハットのお土産をくれるのである。星ツアーに参加したヒロインは勇気を得て親子の問題に立ち向かい解決する。
第4巻の『悪霊の呪い』は、結婚を控えたカップルに襲い掛かる悪霊の呪いの恐ろしさと、それを除霊する深見東州の姿を描いている。除霊を行えば守護霊が活発に動き始め開運するのだと解説される。結婚を控えたカップルに霊障が襲い掛かり、破断になる婚約。ヒロインは除霊を勧められる。深見東州によれば、悪霊の正体はヒロインの先祖に殺され、地獄で苦しむ三人姉妹である。言霊除霊により悪霊を浄化し霊界に送るのである。さらに、地獄で苦しむヒロインの先祖も救う。「許す!」の一言で地獄から救う。
第6巻の『守護霊活用術』では、実業家・杉田幸助の人生が描かれる。不動明王に命を助けられた彼は、折に触れて神に祈る。3000〜5000人の守護霊団がついており守護霊の助けを得て成功したのだという。守護霊についての考え方が杉田の数奇な人生を例に深見東州の口から語られる。杉田幸助のピンチにも深見東州は駆けつけ、不動明王に変身して悪鬼を退ける。
第7巻の『守護霊を味方にする秘伝』では、開運するためには守護霊の存在を信じ且つワールドメイトで祀られている「スの神」を敬うことを勧める。作中ではスチュワーデスの英子が守護霊の助けを得て、憧れのジャズピアニストの西村と結ばれる。英子も西村も信仰心が篤い。終盤、守護霊団が墜落しそうなジャンボジェット機を押し上げて英子たちを助ける。しかしジェット機をさらに悪鬼が襲う! そのとき助けに現れるのは深見東州だ。
第8巻の『受験に克つ』。ワールドメイト教祖の深見東州は、予備校みすず学苑の経営者としての顔を持っており、それを知っていると味わい深い。受験生の谷口一郎は絵の道に進みたいと美大を志す。肝心なところで深見東州が空中に現れたり、前世を明かして芸術家を目指すよう助言する。また、谷口は父親に絵を描くことを反対され、嵐で荒れ狂う海にボートで漕ぎ出す。荒れ狂う海の中で主人公を導きに現れるのは、やっぱり深見東州だ。空中から主人公を励ます。予備校の先生も、頑張れば守護霊が助けてくれると諭す。
第11巻の『特別編 天の巻 植松愛子物語』は、ワールドメイトのもうひとりの創設者である植松愛子(劇中では橘カオル)の物語である。彼女の誕生は大本教の出口王仁三郎も予言していたのだという。彼女は動物の声を聴くことができたり、人には見えないものが見えたり、観音様の声も聴くことができる不思議な力を持っていた。やがて植松愛子は結婚して幸せな生活を送る。しかし、そんな彼女に肉親の死という不幸が襲う。絶望した彼女は突然不思議な存在に突き動かされて雪の山中へ向かう。そこでたどり着いた神社で神秘体験をして神人合一の道を知る。なお、この巻でももちろん深見東州の戦闘シーンがある。
第12巻『特別編 地の巻 深見東州物語』では、信仰心篤い少年の榊山司(深見東州)が不思議な力を発揮する。父親に反発する榊少年だったが、産土神(うぶすながみ)のお告げにより神の道に精進することを誓う。早速、近所の宗教団体で神様に手を合わせると聖徳太子や役小角、楠正成、釈迦といった高貴な人物が次々と現れる。そして修行に邁進するのであった。素直な心に目覚め、ついに父親も信仰の道に導く。父親からは榊少年には実業家の血が流れていると説教されるが、深見東州のその後を予感させる展開だ。
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2024.10.02 20:00心霊深見東州が暴れまくる怒濤のアニメ『神だのみ入門』に唖然!(カルト映画レビュー)のページです。アニメ、新興宗教、ワールドメイト、深見東州などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで