スイスの隔絶された寒村で起きた最狂に忌まわしい事件とは!? 消えた兵士、7人の子供、人肉食、洞窟の奥で…!

※ こちらの記事は2020年6月25日の記事を再掲しています。

 第二次世界大戦中にスイスの村で村民を戦慄させる連続誘拐事件が起こっていたという。冬の間は豪雪で周囲から隔絶された地となるアルプスの小さな村で何が起こっていたのか――。

■スイス・アルプスの村に英陸軍一個中隊が駐留

 戒厳令下の生活の中では、普段よりも特殊な体験をしやすいのかもしれない。国家運営と国益がすべてに優先する戦時下では、人の行動や出会いも、場合によっては運命を大きく左右するものとなるだろう。

 第二次世界大戦で中立の姿勢を貫いたスイスだが、戦争の影響はこの国の小さな村にも及んでいた。

 英米を中心とする連合国にも、ドイツ、イタリアなどの枢軸国のどちらにも加担していない永世中立国・スイスであったが、ヨーロッパでの戦いが激化してくるにつれ、スイス軍もドイツとの国境の守備を強固化する必要に迫られた。

 戦争を通じてドイツがスイスに攻め込むことはなかったのだが、ヒトラーはスイス侵攻作戦を検討していたといわれている。もし侵攻された場合、スイス軍はドイツ軍の戦力をなるべく削ぎながら少しずつ後退し、アルプスの地形を利用した山岳要塞にこもって徹底抗戦するプランを練っていたという。

 ナチス・ドイツとの“決戦場”となると見込まれている山岳要塞のふもとには人口500人ほどの小さな村があった。決して味方陣営ではないものの、連合国軍側もドイツのスイス侵攻作戦を警戒していて、イギリス陸軍はこの村に一個中隊の兵を送り込んだのである。

■不可解な盗難事件が続く

 こうしてこの村にイギリスの兵隊たちがやってきたのだが、期待されていた任務はあまりうまく進んでいなかったという。同盟軍でないこともあり、スイス軍との連携はあまりうまく図られず、言葉の問題もあって村人たちとのコミュニケーションにも非常に大きな課題を抱えていたのだ。

 部隊がやってきたのは1943年の冬であったが、降雪と吹雪の季節が本格化すると、村を出入りする道路が寸断され、当時のこの一帯はほぼ周囲から隔絶されたエリアになってしまうのだった。

 運が悪いことに、この年には雪の影響で通信回線も断絶してしまい、村人たちと部隊は限られた食糧と燃料を消費しながら雪解けの季節を待たねばならなかった。こうした窮状にもかかわらず、部隊長は任務を継続し、ドイツ軍の動向に注意を払い、あらゆる犠牲を払ってでも村を守る決意を固めていた。

 数週間後にはますます状況は過酷さを増し、急こう配の高い山に挟まれた村では日照時間もさほどなかったという。

 兵士たちも疲弊していたのだが、この時になって村人たちは通訳を通して部隊がこの村に来てから村の各所で物品がなくなっていると不平を口にしはじめたのだった。防水シート(タープ)、木材などがいくつかなくなっていて、ある村人の家では飾っていたアンティークの刀剣(ハルバード)もある日なくなっていたのだという。

 村人たちは兵士たちの中に盗人がいるのではないかと疑っていたのだが、隊長にはそれは考えられなかった。だが部隊が着任してから続いている不穏な出来事であることは否定のしようがない事実だった。

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