トカナ > 海外 > 殺人ピエロによる白昼の殺人劇「マーリーン・ウォーレン殺人事件」とは？

殺人ピエロによる白昼の殺人劇「マーリーン・ウォーレン殺人事件」とは？犯人逮捕に27年、現在も裁判が継続中の謎事件

2023.03.27 20:00

Xでポスト

　3月27、28日（深夜0時25分）から２夜連続スペシャルドラマ「アイゾウ　警視庁・心理分析捜査班」（フジテレビ）が放送される。27日に放送される「殺しのピエロ」のモチーフとなったのは、1990年アメリカ・フロリダ州で起こった「マーリーン・ウォーレン殺人事件」。ピエロの殺人鬼といえば33人の少年を殺害したジョン・ウェイン・ゲイシーが有名だが、“キラーピエロ”は他にもいたのだ。

・全米震撼中の“ピエロ騒動”、FBI発動！ 9歳少年までレイプした殺人ピエロ、ジョン・ゲイシーの記憶蘇る

　1990年5月26日土曜日、40歳のマーリーン・ウォーレンは、アメリカ・フロリダ州ウェリントンの自宅に息子のジョセフ・アーレンスといた。彼らは高級住宅地に住んでおり、自宅はエアロクラブ・コミュニティという、どの家もプライベートジェットの専用滑走路にアクセスできるコミュニティの一部であった。マーリーンは、実業家として成功し、ウェストパームビーチに複数の賃貸物件、中古車レンタル業、飛行機、競走馬を所有していた。また、貨物船の検査官としても働いていた。

　しかし、ビジネスでの成功とは裏腹に、マーリーンは私生活で大きな問題を抱えていた。

殺人ピエロによる白昼の殺人劇「マーリーン・ウォーレン殺人事件」とは？犯人逮捕に27年、現在も裁判が継続中の謎事件の画像1 — マイクとマーリーン（画像は「Chilling Crimes」より）

　マーリーンは、10代の頃に最初の夫と結婚し、ジョンとジョセフ・アーレンスという2人の息子を授かった。結婚生活はマーリーンが20歳のときに終わり、その後、2番目の夫であるマイケル・マイク・ウォーレンと結婚した。マイクはレンタカー事業「A Bargain Motors」を経営し、一時は順調だったが、1988年秋、息子の一人であるジョン・アーレンス・ジュニアが交通事故で亡くなり、マーリーンの幸せな生活は終わりを告げた。マーリーンは、もう一人の息子ジョセフのために、できる限り日々の生活を続けようとした。しかし、マイクとの関係はその後破綻した。

　5月26日、マーリーンは当時22歳だったジョセフと彼の友人であるジーン・プラット、ウェンデル・プラット、ミンディ・ペレスの3人と一緒に朝食をとっていた。午前10時45分、彼らは白いクライスラー・レバロンが車道に入ってくるのを目撃し、玄関のドアがノックされるのを聞いた。来客にマーリーンが応対し、「How nice!（素晴らしい）」と彼女が言うのが聞こえたという。しかし、その直後に銃撃音が鳴り響いた。

　ジョセフたちは窓の外に視線を向けたところ、ピエロのような服を着た人物が、玄関から白い車に向かって冷静に歩き、走り去るのが見えた。玄関に駆けつけると、そこには血まみれのマーリーンが横たわっていた。

　マーリーンの隣人の一人、ビル・クレイマーも犬の散歩中に銃撃音を聞いた。近隣住民が家から飛び出してきて、叫び声をあげていたという。

殺人ピエロによる白昼の殺人劇「マーリーン・ウォーレン殺人事件」とは？犯人逮捕に27年、現在も裁判が継続中の謎事件の画像2 — 犯行現場になった自宅玄関（画像は「Chilling Crimes」より）

　ビルの妻が911に電話し、すぐに警察と救急隊が家に到着。玄関を入ってすぐのところに倒れていたマーリーンは顔面を撃たれており、病院に運ばれたものの、2日後に頭部への銃弾が原因で死亡した。

　警察は殺人事件として捜査を開始。警察はマーリーンの夫マイクに話を聞いた。夫婦間に問題があり、離婚は避けられないと思われたため、当初は彼が彼女の死に関与しているのではないかと疑われた。しかし、警察がマイクに銃撃時の居場所を尋ねると、彼は友人とマイアミの競馬場に行く途中だったと話した。その時、彼は何kmも離れたところにいたことが立証されている。

　警察は、マーリーンが撃たれた朝について、そして撃った人物について、さらなる発見をした。目撃者の証言から、マーリーンを撃った人物は、カツラとレースアップシューズを身につけ、顔全体を白い化粧で覆ったピエロの格好をしていたことが判明。

　ジョセフらは、そのピエロを背が高いと表現した。ピエロは車から降りると、2つの風船と花を持って玄関に向かい、マーリーンに気づかれぬよう銃も持ってた。風船の1つには「You’re the Greatest（あなたが一番）」、もう1つには「白雪姫と7人の小人たち」という文字が書かれていた。マーリーンがドアを開けるとすぐにピエロは花と風船を渡し、マーリーンがそれを受け取ると、ピエロは彼女の顔を撃ち抜いたのだ。その後、ピエロは一言もしゃべらず、ただ車のほうへ歩いていった。

　捜査中、警察は匿名のタレコミを受けた。その通報者は、マーリーンの夫マイクとシーラ・キーンという女性を調べるようにと助言した。すぐに警察はシーラがマイクのもとでレンタカー会社の差し押さえ係として働いており、マイクと不倫関係にあるとの噂があることを突き止めた。何人かの目撃者や従業員が、その浮気について供述した。マーリーンの両親は、彼女がマイクの不倫を疑っていたことを警察に話した。

　このとき警察は、マイクはマーリーンの所有する不動産やビジネスを自分のものにするべく、離婚を避けるために彼女を殺害したのではないかと疑った。とはいえ、マイクにはアリバイがあった……だが、不倫相手のシーラにもアリバイがあったのだろうか？