容姿コンプレックスから15歳の美少女を殺害… 被害者の霊に憑りつかれ犯人の容貌が激変?
容姿コンプレックスから15歳の美少女を殺害… 被害者の霊に憑りつかれ犯人の容貌が激変? 遺族「娘と同じ目つきだった」
絶えることのない自己否定と絶望の果てに女がとった“観念的”な行動とは――。それは成り代わりたいほどに羨ましい人物を殺害することであった。
15歳の美少女に嫉妬するベビーシッター
動機が不可解な殺人事件は決して珍しくはないが、そのターゲットに成り代わるために殺害を計画し、実行に移した殺人犯がいた。美少女に成り代わることを意図した実に“観念的”な殺人事件が、1999年のオーストラリアで起きた「レイチェル・バーバー殺人事件」である。
オーストラリア・メルボルン出身の3人兄弟の長女、レイチェル・バーバー(当時15歳)は、モデル業とダンスに情熱を傾ける、才能と野心に満ちた若い女性であった。一流のミュージカル女優になることを思い描いていた彼女は、学校で最も人気のある生徒の1人としても学友の間でも尊敬され、学業優秀で前途有望なボーイフレンドがいたのである。
背が高くてほっそりしたモデル体型のレイチェルは「妖精のような顔」とエメラルド色の瞳など、好印象を与える身体的特徴に恵まれていた。
彼女はリッチモンドのダンスファクトリーの有望なレッスン生でもあり、そのパフォーマンスも好評を博していた。ダンスであれショーであれ、ステージ上では自信に溢れていた彼女だったが、その実、私生活ではきわめて内気な性格で特に初対面の人物の前では極端な人見知りであった。
1993年(1992年との記録もある)にレイチェルの家族はメルボルンからモント・アルバートに引っ越したのだが、その屋敷では子どもたちのベビーシッターとしてキャロライン・リード・ロバートソン(当時19歳)を迎え入れた。
すぐに信頼できる家族の一員になったキャロラインだったが、長女・レイチェルの人気と成功を耳目にするたびに、心の奥底で彼女に対する羨望と嫉妬を募らせていたのだった。
キャロラインはぽっちゃり体型の自分の容姿にきわめて深刻なコンプレックスを抱えており、14歳の時に描いた自画像には「敗者」、「望まれていない」、「汚い」、「肥満」、「頭がおかしい」などの侮蔑的な言葉で自分自身を貶めていたのである。
彼女は家族を離れた父親(父と娘の交流は続いていた)へ送った手紙の中で、自分がいかに価値がないと感じているかを書き綴っている。
「私は、天使でいっぱいの異星人の環境に投げ込まれた、問題を抱え、苦しめられ、失われた魂のように感じます」(手紙より)
キャロラインの自虐的コンプレックスとレイチェルへの嫉妬の感情は、最終的に自分のアイデンティティをレイチェルと交換してみたいという考えに発展し、レイチェルを殺害するという恐ろしくも観念的な犯罪に駆り立てたのである。
入念に計画された犯行と杜撰な逃避行
突拍子もない動機の犯行であるにもかかわらず、犯行は入念に計画されて行われた。
キャロラインは2人だけになった機会を見計らってレイチェルに割りの良いアルバイトの話を持ちかけたのである。それはある心理学研究の実験に参加することで、短時間で500ドルの報酬が得られるが、周囲には絶対に秘密にしておかなくてはならないという条件であった。もちろんこれはレイチェルをおびき出すための偽りの儲け話である。
そして1999年3月1日の朝、レイチェルはボーイフレンドだけには「単発のバイトに行く」とだけ知らせて出かけたのだった。そしてその後、レイチェルが戻ってくることはなかったのだ。
レイチェルはこの日、一人暮らしをしているキャロラインのアパートに招かれ、睡眠薬が混入されたピザを食べさせられて眠ったところを電話コードで首を絞められて殺害されたのだった。犯人はもちろんキャロラインである。
入念な計画で犯行に及び、レイチェルを殺害したキャロラインであったが、その後の行動は逃避願望を安易に反映した杜撰なものであった。
帰らぬ娘を心配したレイチェルの両親はすぐに警察に連絡していたのだが、翌日から仮病を偽ったキャロラインは毛布に包んだ遺体を自宅に2日間置いていた間に銀行でローンを組んでお金を借りた。その後にタクシーで幼少期にゆかりのある農場へ行き、かつてのペットの愛猫の墓の横にレイチェルの遺体を埋めたのだった。
この後、キャロラインは長距離列車に乗ってこの地を離れて別人として生きていくことを計画していたのだが、あまりにも不可解で疑わしいキャロラインの行動を受けて周囲はすでに警察に相談しており、ほどなくしてキャロラインは当局に身柄を拘束されることになったのである。
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