殺人ピエロによる白昼の殺人劇「マーリーン・ウォーレン殺人事件」とは? 犯人逮捕に27年、現在も裁判が継続中の謎事件

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シーラ(画像は「Chilling Crimes」より)

 警察はその答えを見つけるために、あの日ピエロの衣装を着ていたのは誰なのか、正確に調べなければならなかった。マーリーンの家には証拠が残されていた。マーリーンを撃ったピエロが彼女の家に風船と花を残していたため、警察はそれがどこで購入されたかを事件発生から数日で突き止めることができた。

 その店の2人の従業員は、マーリーンが撃たれる2時間前に、女性が花と風船を買ったのを覚えていると警察に話した。また、店はシーラのアパートから約1.6kmという近い場所にあり、花と風船を購入した女性は、茶色の長い髪をポニーテールに結った白人女性だったという。

 さらに、警察はピエロの衣装の購入先を突き止め、スポットライト・コスチューム・ショップの2人の従業員に話を聞いた。彼らは、マーリーンが撃たれる2日前に、茶色の長い髪をした背の高い痩せた白人女性がピエロのコスチュームを購入したと警察に話した。その女性は、顔全体を覆う白い化粧が必要だと言っていたと警察に話したという。後日、警察はシーラの写真を従業員に見せたが、従業員のうち1人は同一人物であることに自信がなかったそうだ。

 事件発生から4日後、銃撃に使われた白いクライスラー・レバロンが発見されたことで、捜査は大きく前進した。その車は、マーリーンの家から約13km離れたウェストパームビーチのウィン・ディキシー駐車場に止まっていた。車内を捜索したところ、車の床からピエロのカツラの毛のようなオレンジ色の繊維と茶色の人毛が見つかった。

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発見された車(画像は「Chilling Crimes」より)

 同日、警察はシーラのアパートの捜索令状を取った。そして、シーラの自宅から、車内で発見されたものと同じと思われるオレンジ色の繊維を発見。また、ピエロが履いていた靴と同じ黒のレースアップシューズの靴底からはオレンジイエローのアクリル繊維が検出された。

 警察は、このオレンジイエローのアクリル毛髪繊維が、車内で発見されたものと同じだと考えた。この繊維は殺害現場にあった風船のリボンからも見つかっていた。

 これで事件は解決だと誰もが思ったが、ここで奇妙な展開を見せる。

 なんと警察はシーラを逮捕せず、殺人罪にも問わなかったのだ。そのため、事件は迷宮入りした。

 それから23年。2013年になって突如捜査が再開され、1990年に収集された証拠品に対してDNA分析が行われた。1990年当時よりも分析技術が格段に進歩しているため、シーラを殺人罪で起訴できるような強い証拠が見つかることが期待されたのだ。

 同時に警察は関係者への聞き取り調査も行った。それにはマーリーンが殺害された当時、シーラとマイクが不倫していたと主張する人々の供述が含まれていた。マイクが経営するA Bargain Motorsの従業員の一人、クロード・ポワトルは、マーリーンが殺される45日前に起こった事件について警察に話した。レスティボ夫妻というカップルから、借りた白いクライスラー・レバロンの返却について問い合わせがあった。しかしこれは間違い電話であり、彼らが車を借りたのはペイレス・カー・レンタルズという別のレンタルカー店だった。クロードによると、マイクはバイザーにキーを置いておけば車を取りに行くと夫妻に話したという。

 その後、クロードは、マイケルとシーラをペイレスカーレンタルまで送り、彼らが白い車に乗り込んで走り去るのを目撃したと語った。そしてマイクは彼にその車について何も言わないように口止めした。

 警察は、そのときの車が後にマーリーンの殺害に関連して使用された車だと推測、シーラがその車に乗っていたことを陪審員に示すことができると考えた。警察はシーラにその車について尋ねると、彼女は「乗っていない」と答えた。

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逮捕時のシーラ(画像は「Chilling Crimes」より)

 DNA証拠に関連する再調査では、アクリル繊維と人毛の2種類のサンプルに焦点が当てられた。 車内とシーラのアパートで発見された繊維、風船のリボンに付着していた繊維を顕微鏡で分析ところ、すべて同じ成分であることが判明した。さらに、車内にあった人間の毛髪もシーラのものであるとわかった。

 マーリーンの殺害から27年後、ついに警察は逮捕に踏み切った。2017年、バージニア州で、シーラ・キーン・ウォーレンが自宅から1.5kmほど離れた場所で逮捕され、第一級殺人罪で起訴された。彼女は夫のマイク・ウォーレンと自宅を共有。マーリーンが殺害された当時、2人とも不倫を否定していたにもかかわらず、1993年にThe Purple Cowという名前のレストランを一緒に開業し、2002年に結婚していた。

 シーラの裁判は現在も継続中。これだけ裁判が長引いているのは事件から30年以上経過しているうえ、状況証拠しかなく、目撃者の記憶も薄れてしまってきているからだ。最新の情報によると、数十年前に本物の自身が本物のキラー・ピエロであると刑務所で告白したとされる男が法廷で証言できるかどうかが審議中とのこと。

 また、マイク・ウォーレンは、これまでマーリーンの殺害に関連した犯罪で起訴されていない。マーリーンの死後、彼は別の事件で起訴され、その事件で不正競争と走行距離計の改ざんで有罪判決を受け、3年半の服役を経て、1997年に釈放されている。

参考:「Chilling Crimes」、「WPBF」、ほか

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文=S・マスカラス(TOCANA編集部)

3代目TOCANA編集長
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