2029年に人類は宇宙人からの返事を受け取る? NASAが送信した20年前の信号が別惑星に到達

宇宙に人類以外の知的生命体が存在しない、と考える研究者もいるが、仮に地球外知的生命体がいるとしても、彼らがすでに地球に到達していたり、地球にメッセージを送っていると考える研究者はほぼいないだろう。宇宙は非常に広大であるため、通信を交わすだけでも何光年もかかる。地球外生命体の探索は遅々として進まない理由はひとえにここにある。
しかし、地球外知的生命体探査は現在もなお研究が続けられている分野である。NASAのディープ・スペース・ネットワーク(通称DSN)は、世界各地に設置された無線アンテナで、知的生命体である宇宙人からの返答を得るために、太陽系の遠く離れた地域に向けて無線信号を発信し続けている。古いものは1972年に打ち上げられ、現在地球から120.66億キロメートル離れた位置を旅しているパイオニア10号探査機だ。パイオニア10号には人類の姿や太陽系を描いた金属板が取り付けられ、地球外知的生命体に対するメッセージとされた。
NASA(アメリカ航空宇宙局)はパイオニア10号に対してこれまでも信号を送り続けてきたが、この信号がパイオニア10号を乗り越えたり機体に反射することで、地球からの電波がどこかの星に到達している可能性も考えられる。カリフォルニア大学の研究チームはこの仮説を元に、探査機に向けて発された信号を受け取る事が出来る星がないか計算してみた。その結果、2002年にNASAがパイオニア10号に対して通信を確認するために発した信号が27光年離れた白色矮星に到達していたことが判明したのである。もし、白色矮星の近くに宇宙人がいる惑星があり、信号に気づいた宇宙人がすぐに信号を送り返していたとしても、返事が地球まで届くのは最短で2029年になるだろうと専門家は見積もっている。
同様に、1977年に打ち上げられ、地球から現在約195億キロメートル離れた位置を飛び続けているボイジャー2号は1980年と1983年に送られた信号が、2007年に2つの恒星に到達したと考えられるという。
今回の研究結果は「Publications of the Astronomical Society of the Pacific」誌に掲載され、今後100年以内に地球の信号に遭遇する星のリストも作成された。どうも我々が思っているより多くの星に電波信号が届いているのかも知れないが、研究者たちは少なくとも2030年代前半までは、宇宙人からの返事は期待できないと考えているようだ。
また、この研究に参加していない米国の天文学者メイシー・ヒューストン氏は「もし応答があったとしても、それを検出できるかどうかは、多くの要因に左右されるでしょう」と述べており、カリフォルニア大学の電波天文学者ジャン・リュック・マルゴー氏は「私たちのちっぽけで頻度の低い送信は、地球外生命体に見つけてもらえないだろう。天の川銀河に何百万もの文明が存在しない限り、この小さな泡の中に別の文明が存在する確率は極めて低い」と述べている。
果たして、地球外知的生命体からの返事は届くのか。ひとまずは2029年を待ってみるのも良いかもしれない。
参考:「Daily Star」ほか
【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
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