想像を絶する虐待と拷問を受け「豚のエサ」にされた7歳少年… 悲劇はなぜ防げなかったのか?
2018年に米ミズーリ州で可決された児童保護に関する法律が「エイドリアン法」だ。この州法名には見過ごされた児童虐待で非業の死を遂げたエイドリアンのことを決して忘れてはならないという決意が込められている――。
両親の虐待の末に殺された少年
米ミズーリ州カンザスシティに住むマイケル・ジョーンズとその妻、ヘザー・ジョーンズの家族には2歳から11歳までの7人の子供たちがいた。
2015年11月25日、ジョーンズ夫妻の間で意見の不一致から危険で暴力的な夫婦喧嘩に発展し、夫が銃を手にしたことで妻のヘザーは警察に通報せざるを得なくなった。
やって来た警察官によって家族の身元確認が行われたのだが、子供の1人、エイドリアン・ジョーンズの姿がないことが判明した。聞けば数カ月前から行方不明になっているという。ちなみにエイドリアンにとってヘザーは継母である。
警察は家とその周辺を捜索したが、エイドリアンの痕跡はなかった。しかしその後に子供のものと思われる遺体の一部をいくつか発見したのである。
警察は家の中でエイドリアンが死亡していたことを突き止め、マイケルとヘザーを逮捕した。逮捕の直前にヘザーは大家のジェン・フーバーズにiCloudのアカウントにある子供たちの写真の数々を保存するように頼んだ。指定されたアカウントにアクセスしたジェンは恐ろしい画像の数々を目にすることになる。夫妻はエイドリアンを惨たらしい手段で虐待していたのある。
ジェンは、ヘザーのiCloudの画像を警察に提出した。数々の写真は虐待が徐々に過激化し、エイドリアンの人生の最後の数カ月で、耐え難いものになっていたことを示していた。
エイドリアンは、健康な少年から、やせ衰え、歯が腐り、目がくぼんだ少年へと変貌し、逃げ出そうとしたり、助けを得ようとしたものの、父親と継母からの虐待に耐えることはできなかったのだ。
家の中には各所に合計30台のカメラが設置されており、家の中のどこにいても子供たちは監視されていた。そしてこの監視カメラの録画映像にもエイドリアンが耐えた想像を絶する虐待の模様が残されていたのである。
マイケルとヘザーはエイドリアンをシャワーに閉じ込め、1日の大半をそこで過ごさせた。エイドリアンは常に足枷と手錠をかけられ、逃げないように縛つけられ、最低限の食物しか与えられずに飢えていた。
まさに拷問と呼べる虐待では、首までの水位のプールに何時間も立つことを強制したり、目隠しされて鉄棒に逆さに縛りつけたり、凍えるような寒さの中に立たせたりと残虐非道の限りが尽くされた。エイドリアンがほうきの柄で顔を繰り返し叩かれているビデオもあった。
ビデオではマイケルとヘザーは彼を名前で呼ばず、代わりに“ボーイ”と呼んでおり、エイドリアンの足首は常に足枷がはめられていたため変形していた。
腹を空かせたブタたちに死体を投げつける
ヘザーのフェイスブックアカウントには、エイドリアンの虐待に関する記述が数多く残されており、『ウォーキング・デッド』の1シーンのように虐待するという書き込みや、2014年のクリスマスの日の投稿では数日後にブタにエサをやる必要があるかもしれないと冗談めかした書き込みを行っている。
冷蔵庫と食器棚に警報システムを設置していたので、エイドリアンが食べ物を手に入れようとするとすぐにわかり、その後にエイドリアンは厳しく罰せられた。そして最終的にこの7歳のエイドリアン・ジョーンズは餓死したのである。
彼の死後、マイケルとヘザーは何匹かのブタを連れてきたが、このブタにはしばらくエサを与えておらず空腹であった。そこで夫婦はエイドリアンの死体をブタたちに向けて投げつけたという。エイドリアンが受けた虐待は恐ろしく非人道的であり、マイケルとヘザーが極刑に値することは間違いない。
エイドリアンが虐待を受けていることを地方行政当局はまったく知らなかったわけではないという。
亡くなる2年前の2013年にエイドリアンは児童課の職員と警察官に、父親に殴られていることを話したが、それでも当局はを保護していなかった。
児童課は在宅サービスを提供しようとしたのだが、ヘザーとマイケルは協力を拒否し、数週間後には住民票をカンザス州に移したのでサービスはもう必要ないことを役所に伝えたのである。
ちなみにエイドリアンの祖母は、エイドリアンが拷問を受けていることを知っていたカンザス州とミズーリ州のソーシャルワーカーを告発し、彼らはエイドリアンの死を防げたはずだったとして訴訟を起こしている。
マイケル・ジョーンズとヘザー・ジョーンズは第1級殺人罪で起訴され終身刑を宣告された。検察はこの事件を、これまでに見た中で最も凶悪な虐待事件の1つであると説明した。
エイドリアンの助けを求める叫び声を聞いた者が早い時期に通報していれば、彼の死を防ぐことができた可能性は確かにあった。2018年、ミズーリ州は「エイドリアン法」を可決し、これによって州境を越えて移動する家族を追跡することができるようになった。エイドリアンにちなんで名付けられたこの法律は、児童虐待が見過ごされ、対処されない場合に訪れるきわめて悲劇的な結果を忘れさせない使命を担っている。決して繰り返されてはならない悲劇がこのエイドリアン虐待死事件なのだ。
参考:「Bugged Space」ほか
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