ケネディ家の呪いの正体は“特権意識”のせい? 上級国民すぎて「友達の友達の殺人」も免除可能=亜留間次郎

ケネディ家の呪いの正体

 暗殺されたケネディ大統領を始め、飛行機で事故死したジョン・F・ケネディ・ジュニアなどケネディ家には不幸な死を遂げた人が多いことから「ケネディ家の呪い」なんて言われています。

 大統領選挙に出ようとしていたジョン・F・ケネディの弟のエドワード・ケネディは1969年に飲酒運転で人身事故を起こし、大統領に立候補できなくなりました。

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ケネディ三兄弟。左からジョン、ロバート、エドワード。(画像は「Getty Images」より)

 この事故でエドワード・ケネディは加害者側で自分は何ともないのに「ケネディ家全てに恐ろしい呪いが降りかかっている」と発言しています。

 ここからケネディ家の呪いという言葉が始まったようですが、この正体を考察してみると意外と簡単なことかもしれません。

1.一族の人数が多い。
2.自分は特別な人間なので悪い事に遭わないと思っている。
3.不都合は権力で殴れば解決すると思っている。
3.安全意識が低いから事故に遭いやすい。
4.有名人なので何かあるとニュースの扱いが大きい。

 暗殺に関しても恨みを買いやすいのに、警備が甘い安全意識の低さから暗殺されたのではないでしょうか?

 ケネディ大統領の暗殺事件は狙撃でも銃撃でもやりやすいパレードの最中でした。

 ジョン・F・ケネディの弟のロバート・ケネディも1968年に暗殺されていますが、誰でも入れる選挙集会でした。

 ジョン・F・ケネディ・ジュニアの飛行機事故も自分の操縦を過信した事故の可能性が高いです。

 ローズマリー・ケネディに至ってはワガママ放題に育ったのを治そうとしてロボトミー手術を受けさせて失敗して廃人になったのは完全に家族のヤラカシだと思います。

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ローズマリー・ケネディ(右)(画像は「Getty Images」より)

 ケネディ家の呪いの正体は強すぎる特権意識から根拠なく自分だけは大丈夫だと思い込んでいる安全意識の低さから暗殺と事故に遭いやすいだけです。

 そして、飲酒運転事故で人を死なせたエドワード・ケネディの事故は言い訳できなくなるまでエドワード・ケネディの名前が報道されませんでした。

 刑罰の軽さからも明らかにケネディ家の圧力があったと言われています。

 ケネディ家を襲った不幸の大半はアメリカ司法に巨大な力を持つケネディ家の権力と財力で握りつぶされ、表に出なかった事件は山のようにあると言われています。

 プレッピー・キラーと呼ばれたロバート・チェンバーズも何とか表に出るのは避けられたネディ家の呪いかもしれません。

プレッピー・キラー

 首絞めセックスの死亡事故は多いですが、合意の上で行っているSMプレイ中にマゾの彼女が死んでしまった場合は法的には過失致死罪になります。

 これを悪用して殺人をSMプレイ中の事故だと言い張って罪を軽くする法廷戦術が横行しました。

 この弁護手段は全世界で1億2500万部以上の売れたと言われるSMを題材にしたイギリスの官能小説フィフティ・シェイズ・オブ・グレイにちなんでフィフティ・シェイズ・ディフェンスと呼ばれています。

 イギリスで最初の事件だといわれているのが、本が出る前の1972年に起きたキャロル・カリファノの死亡でしたが、後付けでこれが最初の判例だと言われています。

 この事件でサディストな彼氏は過失致死罪で済みました。同意した本人は死んでしまっているので意思を確認する方法はありません。

 このフィフティ・シェイズ・ディフェンスを使ったことで有名なアメリカの犯罪者がプレッピー・キラーと呼ばれたロバート・エメット・チェンバーズ・ジュニアです。

 プレッピー(Preppy)とはアメリカ英語で名門私立学校に通っている良家のお坊ちゃまやお嬢様を意味する俗称です。

 1986年8月にメトロポリタン美術館の裏でチェンバーズに暴行死させられた女性の遺体が発見されました。

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ロバート・エメット・チェンバーズ・ジュニア(画像は「Getty Images」より)

 事件が起こった場所はニューヨークの高級住宅街アッパー・イースト・サイドです。

 アメリカでよくある底辺が暮らしているような場所ではなく、普通なら犯罪被害に遭わないような治安の良い高級住宅街に住んでいるお嬢様が治安の良い場所で強姦殺人にあいました。

 プレッピー・キラーのチェンバーズは良家の子供達の中に紛れ込んだ底辺層の犯罪者でした。どうして底辺が紛れ込んでしまったのかというと、チェンバーズの幼なじみのお兄ちゃんの親族がコネで高級住宅街に住めるようにしてしまい治安に巨大なセキュリティホールを作ってしまったからです。

 ロバート・チェンバーズはジョン・F・ケネディ・ジュニアの年下の幼なじみの友達です。

 逮捕されたチェンバーズはひたすらに責任逃れを繰り返しましたが、証拠がありすぎて全部封じられたものの、ケネディ家のお抱え弁護士だったジャック・リットマンが最強の弁護をしてくれました。

 そして、チェンバーズに洗礼を授けた聖職者、セオドア・マカリック大司教(当時)が保釈を願い出て教会が保釈金を集めてくれました。

 セオドア・マカリックは後にワシントン大司教になって枢機卿にまで出世した高位の聖職者です。そして、2018年に子供への性的虐待で枢機卿を首になり、名誉学位を取り消された犯罪者です。

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セオドア・マカリック(画像は「Getty Images」より)

 チェンバーズの裁判が始まるとジャック・リットマン弁護士はフェミニストも人権団体も全て敵に回した最凶の弁護を繰り広げました。死体蹴りという言葉がありますけど、加害者の罪を減らすために死人に口なしでやりたい放題に貶めたのです。

 加害者と被害者をすり替える手口は酷い物で、殺された女は淫乱で変態で、チェンバーズの手をパンティで縛ってレイプしようとしたので抵抗したら事故死したと言い張ったのです。

 性的暴行を受けたのはチェンバーズで殺された女は変態だったと言い張りました。その証拠としてエッチな記述が書かれた彼女の日記を晒しています。

 加害者側の弁護士が証拠保全を盾にとって彼女の家に押しかけて部屋にあった物を押収して調べたんですね……。

 この事件は過去10年間に報告された8千件以上の暴行事件の中で、男性が女性から性的暴行を受けたと報告された唯一の事例と言われています。

 無茶な弁護は批判の的になり「セントラルパークでレイプされた最初の男」(The First Man Raped in Central Park!)と当時のマスコミから呼ばれました。

 たぶん、最初で最後じゃないでしょうか?

 こんな酷い弁護を繰り広げた裁判は13週間続きました、その間ずっと裁判の傍聴席にいた被害者のご両親はどんな気持ちだったのでしょうか?この裁判の判決は13週目で司法取引が行われて決着しました。

 殺人罪ではなく第1級過失致死罪で有罪を認め5~15年の刑期で服役しました。それから、チェンバーズは刑務所でも問題ばかり起こしたので仮釈放とかなしで15年いっぱいまで服役しました。

 この事件は本になったり「The Preppie Murder」という映画にもなってチェンバーズは収入を得ています。

 そして、2500万ドル(約33億円)を上限として収入の10%を被害者遺族に払うことになっているので、90%は加害者の稼ぎになる理不尽です。

 なんで被害者遺族が100%取れないんだって思いますけど、判決は過失致死罪で殺人罪ではありません。

 この時代のニューヨーク州には殺人犯が事件をネタにして得た利益を被害者や遺族に渡さなければならない「サムの息子法」がありましたが、チェンバーズの場合は過失責任に対する賠償なので適用されません。

 司法取引によって経済的なダメージを回避していました。

 なんかものすごく不当な焼け太りみたいな気がしますが、チェンバーズは刑務所に15年も服役していた間も高額な不労所得を得ていました。

 賠償金を受け取った被害者遺族、殺された女性の父親は全額を被害者の人権を守る団体に寄付しています。

 コレだけの無茶振りがケネディ大統領の息子、JFKジュニアの幼なじみの友達というだけでできてしまったアメリカの闇は深いです……。

 ちなみに、出所後の現在のチェンバーズは麻薬密売で逮捕されて2回目の服役中で全く懲りていないようです。

 チェンバーズを擁護した大司教が当時から少年を食い散らかしていた児童性愛犯罪者だったのは同類が集まる集団だったからなんでしょうか? セオドア・マカリックはケネディ家の選挙の票を集める有力者であり、ケネディ家の人達に洗礼を授けていた聖職者です。
この人もケネディ家との関連を取りあげられずに済んだ人です。

 その後、被害者をボコボコに貶したジャック・リットマン弁護士は10年あまり悪性リンパ腫に苦しんだ末に2010年1月23日に病死しています。

 死後の2010年2月27日にテキサス州オースティンで開催された全米刑事弁護弁護士協会の理事会で素晴らしい弁護士だったと賞賛する決議がなされています。

 ジャック・リットマン弁護士は1986年に設立されたニューヨーク州刑事弁護人協会 (NYSACDL) の創設メンバーの一人であり、会長であり、全米刑事弁護弁護士協会の重役でもありました。

 この人もケネディ家の呪いで死んだのでしょうか?

チートスキルの入手方法

 チェンバーズのこのようなチートスキルはどうやって手に入れたものなのでしょうか。

 その方法は、1964年から1977年までジョン・F・ケネディ・ジュニアのベビーシッターをしていたキャシー・マッキーオンが書いた暴露本に出てきます。

 チェンバーズの母親フィリス・チェンバーズはケネディ大統領の奥さんジャッキーに持病持ちの息子の世話をさせるために雇われていた私設看護婦でした。

 そして、ロバート・チェンバーズはJFKジュニアよりも年下の弟分で子供時代は一緒に遊んでいたそうです。

 日本のラノベとかなろう小説のタイトル風に言うなら「ママが大統領夫人のメイドで幼なじみのお兄ちゃんは最強の弁護士」みたいな感じだったんです。

 チェンバーズの母親はケネディ家の斡旋でニューヨークの庶民用住宅街から高級住宅街アッパー・イースト・サイドに引っ越して暮らせるようになりました。

 チェンバーズはケネディ家のコネで手厚い奨学金を受けていたので生活には不自由せず、ニューヨークの名門私立学校ブラウニングスクールに通っていました。

 学費実質無料でケネディ家のコネで高級住宅街で暮らし富裕層向けの学校に通えたけど14歳で麻薬に手を出して中学高校と窃盗、アル中、薬物に手を出した札付きの不良だったそうです。

 それでもケネディ家のコネ入学なので退学にはなりませんでした。

 チェンバーズは無事にJFKジュニアと同じボストン大学に入学しましたが、早々に窃盗罪で捕まって退学になり、問題の事件を起こしました。

 大統領夫人の看護婦メイドだったお母さんのおかげで最強のチートスキルを手に入れたんですね。

 アメリカは自由でも平等でもありません、日本より酷い縁故社会です。

 庶民がチートスキルを手に入れて無双チート主人公になったらタダの不良で犯罪者という痛い現実を見せつけてくれました。

 ケネディ家が呪われているのは一族でこんなことばかり繰り返しているせいだと思います。

資料資料

・1964年から1977年までジョン・F・ケネディ・ジュニアのベビーシッターをしていたKathy McKeonが書いた暴露本
Jackie’s Girl: My Life with the Kennedy Family』(Gallery Books)

・JFKジュニアはプレッピー・キラーであるロバート・チェンバースと遊んだことがあるけど……うまくいかなかった。
JFK Jr once had a playdate with ‘Preppy Killer’ Robert Chambers… and it didn’t go well (Daily Mail)

・フィフティ・シェイズ・ディフェンス
Fifty Shades defense (Wikipedia)

ロバート・チェンバーズ (Wikipedia)

文=亜留間次郎

薬理凶室の怪人アルマジロ男。人間の皮を被った血統書付きアルマジロ。守備範囲は医学から工学、ノーマルからアブノーマルまで幅広く、アリエナイ理科ノ大事典など、くられ氏と共に薬理凶室関連の共著多数。単著に『アリエナイ理科式世界征服マニュアル』(三才ブックス)がある。よくわからないケダモノなのでよくわからないネタで攻めていきます。

公式サイト http://asai-laboratory.sakura.ne.jp/
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