「UFO学を学校教育に組み込む」UFO研究団体副会長が主張! 30カ国が支持、しかし問題も…

 社会生活を送るうえで知っておかねばならないことを学ぶのが義務教育だが、これからの社会で知っておかねばならないことに“UFO”(※1)を加えることが検討されているという。年齢を問わず我々は“その日”に備えなければならないというのである――。

“UFO学”が義務教育カリキュラムになる日

 アメリカ下院で「UFO公聴会」が開かれるなど、UFOにまつわる情報開示の機運が高まっている中、一昨年に発足したUFO研究団体「ICER(International Coalition for Extraterrestrial Research)」の副会長であるゲーリー・ヘーゼルタイン氏は、UFO学(Ufology)が近いうちに義務教育の科目になるかもしれないと考えるようになったという。

 ヘーゼルタイン氏は、アメリカの新しい法律がUFOとエイリアンに関する真実を明らかにする可能性があると考えており、それは教育界にも多大な影響を及ぼすことを想定している。

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ゲーリー・ヘーゼルタイン氏 「The Sun」の記事より

 イギリスでの義務教育修了認定資格は「GCSE(General Certificate of Secondary Education)」と呼ばれているが、ヘーゼルタイン氏はこのGCSEにUFO学を加えることを早急に検討しなくてはならないと主張しているのだ。

 UFOとエイリアンの実在の公表は「人類の歴史の中で最も深遠な瞬間」となるが、現在の我々は子供であれ大人であれ心の「準備ができていない」事態になるだろうとヘーゼルタイン氏は危惧している。

 UFOとエイリアンについての衝撃的な情報開示イベントがいつ起こってもおかしくないところにきているともいえるのだが、この件に関しては世界の95パーセントがまだその問題にすら気づいていないという。突然公表された場合、社会にどんな混乱をもたらすか未知数である。

 したがってICERは人々を教育するために遠隔で授業を行う一連のオンラインコースの作成に取り組んでいる。これはすでに30カ国から支持されているということだ。

 今年2月にICERは「Evidential History(証拠の歴史)」という2日間で6時間に及ぶオンライン講座を行っており、今後さらにコースを増やすべく取り組んでいる。

「私たちの役割はこれから起こることを教育することだと考えています」(ヘーゼルタイン氏)

 ヘーゼルタイン氏はこうした講座がGCSEのカリキュラムに加わる可能性を示唆し、さらにはUFO学が大学の学位になる近未来を思い描いている。

「UFO学は大学の学位にもなる主流の学問になると思います。どのような学問名になるにせよ、本質的にUFO研究はメジャーになるでしょう」(ヘーゼルタイン氏)

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「Daily Mail」の記事より

“陰謀輪”を前提にしてはならない

 トロント大学の政治学者であるジェフ・ダンシー准教授は、ICERの多くの重要な点に同意しながらも、教育は常に「確立された歴史的および科学的命題」に基づいているべきだと「Daily Mail」に語っている。

「原則としてICERは科学的手法を支持しており、独断主義には抵抗しています。私はそれを支持します。問題は、本質的に観察可能で再現可能な証拠に基づいて主張を根付かせる科学的手法に彼らが実際には従っていないことです」(ダンシー氏)

 ダンシー氏は基本的にICERの取り組みに賛同しているが、GCSEのカリキュラムに適用されるには歴史的および科学的命題に基づいている必要があることを指摘している。

「いかなる命題も100%の確実性で証明したり反証したりすることは決してできませんが、一部の命題や主張には、他の命題よりもはるかに多くの証拠による裏付けがあります。ICER がウェブサイトで提示した証拠は不十分です。それは私たちがアネクデータ(anecdata、不確かなデータ)と呼ぶものです」(ダンシー氏)

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画像は「Pixabay」より

 ダンシー氏はまた、政府が地球外生命体に関する詳細を隠している可能性があるとしながらも、これを巡る多くの陰謀論があることを強調した。

「“政府”が地球外生命体の詳細を隠しているという考えは興味深いし、可能性があります。そして陰謀論に関する限り、それは最も有害性の低いものの一つです。宇宙人に対する信仰自体は陰謀論ではありませんが、当局が宇宙人に関する情報を隠しているという考えは陰謀論です」(ダンシー氏)

 しかしここには皮肉があり、UFOとエイリアンの観察可能な証拠がすべて隠されたままである場合、宇宙人が存在するという命題を裏付ける利用可能なデータは存在しないことになる。

「共謀者たちが地球外生命体に関する情報を大衆から隠すことに成功しているのであれば、ICERのような団体は、彼らが知っていることではなく、彼らが信じていることに基づいて提案を行っていることになります。結局のところこれは科学ではありません。なぜなら科学は信念を裏付けるものではなく、疑いを克服することに基づいているからです」(ダンシー氏)

“陰謀輪”に基づくことのないUFO学がメジャーな学問分野になる日が近いのだろうか。“その日”に向けて人々への啓蒙活動を続けるICERに今後も注目していきたい。


(※1) UFO(Unidentified Flying Object:未確認飛行物体)は、説明のつかない航空現象をすべて含むが、現在は「宇宙人の乗り物」という意味で用いられることが多い。そのため、現在アメリカ軍では「宇宙人の乗り物」という意味合いが強くなったUFOに替えて、説明のつかない航空現象に対し、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用している。

参考:「Daily Mail」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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