九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。

【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方

 世の中には実に奇妙な行為を好む人間がいるもので、そうした人々の嗜好というのは、得てして世人の多くが眉をひそめるものばかりだ。しかし、そんな嗜好を“習慣”として広め、定着させてしまった事例は、思いのほか多く存在しているようだ。


「なにせ小便だよ? 小便を飲むんだからね。しかも他人様の。それを“健康祈願だ”なんて言ってたんだから、呆れた話だよ」


 かつて、たまたま仕事で訪れる機会があったという、北部九州のとある地域で知ることとなったその“奇妙な健康祈願”についてそう語るのは、都内在住の元会社員・川端孝三さん(仮名・76)。川端さんの話によると、彼が訪れたその地域では、毎年正月を迎えると、村人たちの“尿”を飲むという、実に奇妙な習慣があったという。


「私がそこへ行ったときは季節はずれだったものだから、実際に目にしたわけではないのだけれどもね、地元の人間の話じゃ、正月になるとお屠蘇じゃなくて小便を飲むんだっていうの。私はね、その人らがそれを当たり前のように話してるもんだから、呆気にとられてしまったよ」


 その土地ごとに様々な儀式はあるにせよ、「正月に他人の尿を飲む」という話はそう聞くものではない。しかもその“飲み方”が、常軌を逸しているというのだ。

「どの家にもさ、奥さんがいるでしょ。その奥さんがね、やってきた客相手にね、股を開いて、“直接”飲ませるっていうんだよ。そう、隣近所の連中相手におっ広げてね、シャーってやるわけ。それを口を開いてぐびぐびとやるってんだから、これはもう、マトモな連中のやることじゃないよ」


 そもそも隣家に住む人妻の尿を飲むというだけでも奇妙な話だが、それを相手の股間に顔を埋めて“直接”口にするというのだから、空いた口が塞がらない。しかも当地では、この“聖水プレイ”とも言うべき行為が、あくまで“健康祈願”として行われているというのだから驚くばかりだ。


「私もよそ者だからね、詳しい経緯なんかはよくわからないんだけれどもね、あれはきっとそういうことを好きな人間が大昔にいてさ、それを公然とやらかすために、わざわざもっともらしい大義名分を用意して、儀式にしちゃったんじゃないか?って思うね。まあ、儀式だろうと趣味だろうと、ありゃ変態だよ、変態」


 世人の多くが初詣や酒宴などで盛り上がりを見せるなか、お屠蘇よろしく、隣家の人妻が出す尿を有難がって飲むという当地の人々。世界広しと言えども、こうした行為が行われていることが確認できる地域は、後にも先にも当地域のみであるだけに、彼らにとっての余所者である我々にとっては、その詳細がなんとも気になるところだ。

文=戸叶和男

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