身長229センチ体重約600キロ!史上最も大きな男の奇妙な話、巨漢ミルズ・ダーデンの生涯

 19世期前半の米国に「史上最も大きな男」と言われる人物がいた。彼の名はミルズ・ダーデン(1798-1857)といい、体重およそ400〜600キロ、身長229cmのまさに“巨人”だった。現在ではミルズより体重の重い人も身長が高い人も複数確認されているが、彼のように体重も身長も大きな男は知られていない。彼こそが史上最も大きな男といえるだろう。

Mills darden irl Harou stood at 7’6 and weights 1100lbs.
byu/Egenjutsu inKengan_Ashura

 ミルズ(一説にはマイルズとも)・ダーデンは1798年にノースカロライナ州で生まれた。生まれた時にはごく普通の赤ちゃんだったというが、成長するにつれ、縦にも横にも大きく育って、成人する頃には身長は2メートルを超え、胴回りは195センチにもなっていた。

 服のサイズも当然大きなものとなり、ズボンのウェストは72インチ(約183センチ)、帽子は29インチ(約74センチ)とまるで蜂の巣のような大きさだった。さらにコートを作るには100平方メートル以上の布地が必要だったといい、90kgの大柄の男性3人が一緒に入れるほどの大きさだったという。

 1827年ごろ、ミルズは両親と共にテネシー州に移住した。農家だったミルズはよく働く男だった。500ポンド(約227kg)の干し草を一度に持ち上げて運んだり、1200ポンド(約544kg)の飼料袋を片手で2km運んだりと、その体格と怪力を十分に生かしていたようで、泥にはまってしまって数人がかりでも持ち上がらなかった荷車を、彼がたった1人で引き上げたという話も残っている。

 そんなミルズの生活は、その巨体に見合う“規格外”のものだった。ある記事によると、彼の朝食は40枚のビスケット、1ポンド(約450g)のバター、2.5ポンド(約1.1kg)のベーコン、18個の卵、2.8Lのコーヒーだったという。また別の記事では、1ダースの卵にバターを塗ったビスケット30枚、1.8Lのコーヒーとされている。さらに食事時には、3〜7リットルの水を飲むのが普通だったそうだ。

 体の大きさは生活にも影響を与えており、家のベッドや家具はその体重を支えられるように頑丈に作られていた。また、よそに泊まる際にはベッドを壊さないように床で寝ていたという。敬虔なバプテスト教徒であったミルズは教会によく通っていたが、いくつかのベンチを壊してからは、教壇の前に毛布を広げて説教を聞くのが習慣になっていたそうだ。

画像は「Wikipedia」より

 成人してからもミルズの体重は増える一方で、1845年(当時46歳)には871ポンド(約395kg)にもなっていた。増え続ける体重のせいでミルズは次第に農業を続けることが困難になっていった。1850年ごろ、テネシー州レキシントンに移住した彼は、裁判所の近くの広場に居酒屋兼旅館を開いた。ミルズは謙虚で人好きのする性格だったようで、巨漢の名物店主のもと、この旅館は大いに繁盛したという。ただミルズは自分の大きさをコンプレックスに思っていたようで、この時期の写真は見つかっていない。

 体重の重さで移動が困難だったのだろう、ミルズはいつも2頭の牛か馬が引く荷車に乗っていたという。ミルズは体重を測ることを拒むようになっていたので、晩年の彼の体重は荷車のバネの長さから推定されたものである。人々は彼が荷車を降りた後、こっそりその荷台に岩や鉄屑を乗せ、彼が乗っていた時とバネの長さが同じになる重さを調べたのである。この時の推定体重は1000ポンド(約592kg)前後だった。

 ミルズは少なくとも2回結婚しており、確認されているだけで7人の子供がいた。二番目の妻メアリーは身長120センチほどと非常に小柄だったといい、夫婦が一緒にいる光景はさぞ人目を引いたであろう。なお、子供たちは父に似ることなく普通の体型だったそうだ。

 1857年1月23日、ミルズは57歳でこの世を去った。死因は太り過ぎのせいで気管が圧迫されたことだったと考えられている。記録によると彼の棺は長さ8フィート(約244センチ)、深さ35インチ(約89センチ)、頭部分の幅18インチ(約46センチ)、胸部分は幅32インチ(約81センチ)、足部分が幅14インチ(約36センチ)の巨大なもので、大量の材木と釘が必要だったという。また、彼の遺体を家から出すのに壁を一部破壊する必要があり、男性17人がかりで棺に納めたということだ。

 ミルズの体がここまで大きくなってしまったのは、下垂体の機能不全が原因だったとされている。彼の記録がギネス世界記録に登録されたのは死後で、1886年のギネスブックにその体重と身長が記録されている。ミルズの墓は現在もレキシントンに残っており、地元の歴史的人物として名を残している。

参考:「Yesterday’s Tennessee」「Find A Grave」ほか

 

※当記事は2021年の記事を再編集して掲載しています。

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