生涯、任天堂に給料の25~30%支払うよう命じられた男性
ビデオゲームの著作権侵害の罪が確定したカナダ人のハッカーはおそらく今後一生、月々の収入の3割ほどを任天堂に支払い続けることになった。自己破産は許されないのである。
■ハッカーに賠償金の“月極め”支払い判決
ハッカー集団「Team Xecuter(チーム・ゼクター)」の元メンバーでカナダ人のゲイリー・バウザー(55歳)は2020年、「Nintendo Switch」を対象とした改造チップ、カートリッジ、ロック解除ソフトウェアを開発していたとしてドミニカ共和国で逮捕されアメリカに身柄を移送された。このロック解除ソフトウェアによってユーザーはゲームにお金を払わずにプレイできるため任天堂は多大な損害を被ったのだ。
連邦地裁の判決は厳しいもので、バウザーは任天堂のゲーム機のセキュリティを侵害するツールの販売に関連した連邦刑事告発に対して有罪を認め、懲役40カ月と罰金と賠償金を合わせて1450万ドル(約22億円)の支払いを宣告された。
2023年3月に早期釈放されたバウザーだが、損害賠償金の支払いは“月極め”であることが判明している。月の収入の25~30%をこの先、生涯にわたって延々と支払うことになっていたのだ。
早期釈放は、年齢、運動を制限する健康上の問題、カナダ国籍であることなど、いくつかの要因により認められたのだが、カナダ・トロントに帰国したからといって、任天堂に対する金銭的義務が免除されたわけではなく、依然として1000万ドルの賠償金と450万ドルの罰金が課せられている。
バウザーはアメリカで裁判にかけられた唯一の「Team Xecuter」のメンバーであり、残りの2人の共犯者のうち中国籍の1人は逮捕されず、もう1人も起訴のために身柄を引き渡されることはなかった。バウザー氏は、この活動による自身の利益は、数千万ドルを超えるグループの総収益に比べればごくわずかだと主張している。
バウザーに対する容疑には、通信詐欺、技術的手段を回避する共謀、ハッキング装置の密売、マネーロンダリング共謀などが含まれている。2024年2月に「ガーディアン」紙が掲載したインタビューで、バウザーは住む場所は確保したものの、就職活動をしながら任天堂への多額の支払いに苦労しており、足の病気の治療費は寄付に頼っていることを明かしている。
こうした逆境にも関わらず、バウザーは自分の状況について現実的な見方を保っており「もっと悪い状況になる可能性もあった」と述べている。彼の事件は、デジタル時代におけるビデオゲームの著作権侵害や知的財産の盗難を許さない司法制度の厳しさを示すケースになったといえる。
自己破産をすると損害賠償の支払を免れられる可能性が出てくるかもしれないが、“月極め”であるために破産することなく今後も延々と支払い続けることになるのだろう。まさに生涯をかけて悔い改めることになりそうだ。
参考:「Misterios do Mundo」ほか
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2024.10.02 20:00心霊生涯、任天堂に給料の25~30%支払うよう命じられた男性のページです。著作権、ハッカー、任天堂、ビデオゲームなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで