人間の言葉を真似する“シロイルカ”の映像が人々を恐怖に陥れる

画像は「YouTube」より

水中で聞こえた「人の声」—謎の録音が再び注目を集める

 深海で人間の声が響いたらどう感じるだろうか。2012年、ある水族館で録音されたシロイルカ(別名:ベルーガ、シロクジラ)の音声が、再び話題となっている。この録音では、シロイルカが人の言葉をまねて発声する様子が捉えられており、その驚くべき能力に科学者たちも注目している。一方、インターネット上では「恐ろしすぎる」との声も上がり、奇妙な生き物のように感じる人も少なくない。

 この録音では、シロイルカが水中で発する異様な音が記録されていた。その声は、まるで人間の言葉をぼそぼそとつぶやいているようにも聞こえ、どこか歪んだ響きを持っている。公開当時は科学的な興味の対象となったが、近年SNSで再び注目を集め、ユーザーの間で「ホラー映画のようだ」と話題になっている。ある投稿には、「動画のサムネイルを見ただけで魂が飛び出しそうになった」「完全にホラーだ」といったコメントが寄せられている。

科学的な視点—シロイルカの発声能力とは

 この現象の背景には、動物の音声模倣能力が関係していると考えられている。専門家によれば、このシロイルカは、水中で人間の話し声を聞き、それをまねた可能性が高い。人間が水中で会話をする際にはダイビング機材を使用するため、その声はこもった音になり、イルカがそれをまねると、より奇妙な響きとなるのだ。

 実はシロイルカだけがこのような発声能力を持っているわけではない。2018年には、メスのシャチ「ウィキ」が人間の言葉を模倣することに成功したという研究が発表された。この研究では、ウィキが「ハロー(Hello)」や数字の「ワン・ツー・スリー(One, Two, Three)」といった言葉をまねて発声したことが確認された。さらに、彼女は他の動物の鳴き声、例えばオウムの鳴き声さえも再現したという。

 この研究に関与した英セント・アンドルーズ大学のジョゼップ・カール教授は、「クジラやイルカが体の動きをまねる能力を持っていることは以前から知られていた。しかし、彼らが自然界にない音を学習して再現できるというのは、非常に珍しい能力だ」と説明している。実際に、このような音声模倣能力を持つ動物は限られており、鳥類のオウムやカラスなど一部の種にしか見られない。

画像はUnsplashSaanvi Vavilalaより

模倣能力の進化的意義—なぜ海洋生物は声をまねるのか?

 このような発声能力には、実用的な側面もある。シャチは家族ごとに異なる「方言」を持ち、個体同士のコミュニケーションのために特定の鳴き声を学ぶ。また、シロイルカは氷に閉ざされた極寒の海で生息しており、音を頼りに狩りをするため、音声の学習能力が発達したと考えられる。こうした能力が、人間の声をまねることにまで発展した可能性があるのだ。

 しかし、この能力がSNSで話題になる理由は、科学的な興味だけではない。シロイルカの愛らしい見た目とは裏腹に、人間のような声を発することに対する「違和感」が、人々の恐怖心を引き起こしているとも言える。実際、「フレンドリーな見た目の生き物が発する異様な音声」というギャップが、ホラー映画のような印象を与えているのだろう。

 科学者たちは今後も、この驚くべき能力のメカニズムを解明するための研究を続ける予定だ。もし海の中で突然「人の声」が聞こえたとしても、幽霊や未知の生物ではなく、シロイルカが遊び半分で「会話」を試みているだけかもしれない。

参考:Misterios do Mundo、ほか

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