脅威の記憶術!ビル・ゲイツも実践する古代ギリシャ由来の“記憶の宮殿”とは?

御年69歳にして、マイクロソフトの共同創業者であり慈善家としても知られるビル・ゲイツ氏。その思考の鋭さ、記憶力の確かさは今もなお健在だ。彼がその知性を維持するために採用している秘訣の一つが、なんと古代ギリシャ時代から伝わる「記憶の宮殿」と呼ばれる千年以上の歴史を持つ記憶術だという。情報をほぼ確実に記憶するためのこの方法を、ゲイツ氏はどのように実践し、その驚異的な記憶力を維持しているのだろうか。
その答えのヒントは、ジャーナリストのジョシュア・フォア氏が執筆した『アインシュタインとムーンウォーク(Moonwalking with Einstein)』という書籍にある。この本は記憶力競技の世界に深く迫り、古代の記憶術がいかにして記憶能力を革命的に向上させるかを解き明かしている。規律正しいことで知られるゲイツ氏はこの本を読み、その中心的なテクニックである「空間的視覚化」、つまり頭の中に空間を思い描く方法を自身の日常に取り入れたのだ。
頭の中に建てる「記憶の宮殿」とその仕組み
2000年以上前、古代ギリシャの詩人や弁論家たちは、情報を記憶するために想像上の「宮殿」を頭の中に作り上げていた。伝説によれば、詩人シモニデスは、ある宴会場が地震で崩壊した後、この技術を使って犠牲となった招待客のリストを再構築したという。彼は災害が起こる前に人々が座っていた場所と名前を結びつけて記憶していたのだ。
この物語に触発されたゲイツ氏も、このコンセプトを応用している。彼は自宅や博物館といった馴染みのある場所を頭の中に詳細に思い描き、その空間の中にある特定の「モノ」に記憶したい情報を「置いていく」のである。

例えば一連の数字を覚える必要がある場合、彼はリビングの壁にそれぞれの数字が描かれた絵画が掛かっている様子を想像するかもしれない。そして、頭の中でその部屋を「歩き回る」ことで、順番通りに数字を正確に思い出すことができるのだ。この方法が効果的なのは、人間の脳が数字や単語のような抽象的な情報よりも、具体的なイメージや空間的な情報を優先して記憶する性質を利用しているからである。
記憶術を使いこなすコツと更なるテクニック
ゲイツ氏は、この「記憶の宮殿」の技術は継続的な練習が必要だと強調する。一度宮殿を作って終わりではなく、定期的にその空間を訪れ、新しい情報で更新していく必要があるのだ。さらに、記憶力を鍛える際には、自分が本当に興味を持てるテーマを選ぶことが重要だという。退屈なテーマでは、脳は情報を記憶することに抵抗を示すからだ。ゲイツ氏は、複雑なデータを個人の趣味や情熱と結びつけることを推奨している。もし料理が好きなら記憶したい項目を食材に見立てて、頭の中のキッチンで物語を紡いでみてはどうだろうか?
「記憶の宮殿」以外にも、ゲイツ氏や認知科学の専門家が推奨する記憶力向上のための補完的な方法がいくつか存在する。
リズムと韻:情報を詩や歌のリズムに乗せる。九九を歌で覚えるようなものだ。
記憶術ストーリー:覚えたい事柄を使って、奇抜で馬鹿げた物語を作る。例えば、「パン、牛乳、卵」という買い物リストなら、「巨大なパンが牛乳パックを追いかけ、牛乳パックは卵の殻の中に隠れた」と想像する。
アルファベット法:各項目をアルファベットに関連付け(A=アボカド、B=自転車)、短い文を作る。
キーワード法:複雑な概念を頭字語や簡単な用語に要約する。
分散学習(間隔反復):覚えた内容を、1日後、1週間後、1ヶ月後といったように、徐々に間隔を空けながら復習する。
奇抜な連想:関連性が突飛であればあるほど記憶に残りやすい。例えば、『メガネ』という言葉を覚えるために、大きな『メガホン』を持った『ネコ』が応援している姿を想像するなど。

これらのテクニックは単なるこじつけではない。科学的にも情報を鮮明なイメージや感情と結びつけると、記憶に重要な役割を果たす海馬や視覚野を含む脳の複数の領域が活性化されることが分かっている。これにより情報が忘れ去られるのを防ぐ強力な「記憶のフック」が作られるのだ。ゲイツ氏にとって、これらの技術を習得することは並外れた能力を誇示するためではなく、誰でも学び、活用できるツールを使いこなすことに他ならない。
もし、「これは天才にしかできないことだ」と思っているなら、考え直した方がいいかもしれない。記憶力競技の参加者の多くは、トレーニングを始める前はごく普通の記憶力しか持っていなかったと明かしている。秘密は生まれ持った才能にあるのではなく、時を経て証明されてきた方法にあるのだ。ビル・ゲイツ氏が一つひとつ記憶の宮殿を築き上げながら世界に影響を与え続けているように。
参考:Misterios do Mundo、ほか
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