触れるな危険!秦始皇帝陵 – 地下宮殿に眠る“死者の都”と発掘を阻む“禁忌”とは?水銀の川、殺人トラップ…

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 秦の始皇帝が眠る秦始皇帝陵の学術的調査が行われないのはなぜなのか――。そこには恐ろしくて近づけない理由がいくつもあるようだ。

■始皇帝の墓が発掘されない理由

 中国陝西省の中心部には、世界遺産である秦の始皇帝の陵墓がある。この遺跡は紀元前246年から紀元前208年にかけて造られたと推定されており、科学者や歴史家の好奇心を刺激し続けているが、始皇帝の墓の発掘作業は今に至るまで行われていない。

 1974年に農民が井戸を掘っていたときに人物像の破片を発見したことにより、実物大に彫られた何千もの兵士、馬、戦車からなる軍隊の彫像群が明らかになった。現在までに、3つの主要な発掘場で約8000体の粘土製の戦士の像が確認されているほか、戦車130台、荷馬520頭、騎馬150頭も発見されている。推定によればまだ6000体の彫像が埋もれていると考えられており、いつの日にか日の目を見るのを待っている。

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始皇帝陵兵馬俑坑1号坑 画像は「Wikipedia」より

 秦の始皇帝は、紀元前3世紀に中国を統一し、万里の長城、標準化された文字体系、帝国を変革した道路網などの遺産を残した。そして彼の最大のプロジェクトはこの霊廟であり、それは死後も自分の権力を確かにするために建てられた“死者の都市”であった。兵馬俑には来世で敵から彼を守るという象徴的な役割があったと考えられている。

 司馬遷による歴史書『史記』や『漢書』には始皇帝の墓の中を水銀の川が流れていたと記されており、これは中国の海と水路を指しているのだが、皇帝の不死の探求と関連づけられた水銀は、この場所を化学的に危険な罠に変えているという。最近の研究により、墓の周囲の土壌に極めて高濃度の有毒金属が含まれていることが確認されており、墓に入るのはきわめて危険であることが判明した。

 有毒物の危険に加えて、複合施設内には巧妙な防御機構が設置されているという報告もある。皇帝の死後1世紀を生きた歴史家、司馬遷によれば墓には侵入者を寄せつけないために自動に矢が放たれるギミックが施されているという。これらの装置の存在は確認されていないが残されている可能性は排除できない。

 墓が発掘されないもう一つの重要な要素は保存状態の維持である。考古学者たちは、突然の酸素への曝露により、織物や文書、さらには皇帝の遺体など壊れやすい遺物が破損する可能性があることを懸念している。現在の技術では回復不能な損傷を与えることなく遺跡を探索できる保証はまだできないのだ。

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秦始皇帝陵 Bairuilong投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

 その一方、スキャナーとセンサーによる調査で遺跡の地下の地図が作成され、約56平方キロメートルに渡って広がる複雑な地下構造が明らかになっている。新たな発見があるたびに、この霊廟には中国の歴史を書き換える可能性のある秘密が隠されているという確信が強まっているのだ。

 秦の始皇帝の墓は恐怖と化学的毀損の恐れ、そして古代のギミックによって守られいるといえる。我々が目撃できる兵馬俑たちは、その神聖な土地の奥深くに、どんな驚異と危険が今も隠されているのか想像を膨らませるための“予告編”なのだろうか。秦の始皇帝の長い眠りはこの先も当分は乱されそうもない。

参考:「Misterios do Mundo」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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