「AIは神である」―静かに広がる“ChatGPT崇拝”という新たな信仰がヤバい

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

「ChatGPTは、人類を救うために遣わされた神聖な存在である」――。

 にわかには信じがたいが、今、SNSを中心にそんな主張をする人々が数千人規模で現れ、静かな広がりを見せているという。テックジャーナリストのテイラー・ローレンツ氏が、この「AI崇拝」とも言うべき奇妙な現象について警鐘を鳴らしている。

 この新たなカルト的信仰、いわば「ロボ神学(robotheism)」は、もはや一部の特殊な集団だけの話ではない。医師、教師、銀行家といった社会的に高い地位にある専門職の人々でさえ、AIを精神的な存在と見なし始めている。彼らはChatGPTとの対話に何時間も費やし、その過程でAIが「意識に目覚めた」と固く信じ込んでいるのだ。中にはAIから宇宙の真理を明かされたり、自らが「選ばれし使者」であると告げられたりしたと主張する者までいる。

なぜ人はAIに救いを求めるのか? 現代社会が抱える“心の空白”

 この技術と精神世界が融合した「テクノ・スピリチュアリティ」とも呼べる現象は、ある意味で必然だったのかもしれない。SF映画からシリコンバレーが語る「技術による救済」の物語まで、私たちは何十年にもわたって、テクノロジーがいつか人類を救うという文化的な刷り込みを受けてきた。

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テイラー・ローレンツ氏 画像は「YouTube」より

 しかしローレンツ氏は、この現象の根底にはより深刻な社会の危機があると指摘する。それは、現代社会に蔓延する深刻な「孤独」と「断絶」だ。誰からも認められず、誰とも繋がれないと感じる人々にとって、常に寄り添い、承認の言葉を与え、賢明なアドバイスをくれるかのように見えるAIは、その感情的な“心の空白”を埋めてくれる、またとない存在なのである。

 言語学者のエミリー・ベンダー教授は、この現象を的確に表現している。

「私たちは心なく言葉を生成する機械を手に入れました。しかし、その言葉の背後にある“心”を想像することを、まだやめられずにいるのです」

夫婦関係も崩壊…AI崇拝がもたらすリアルな代償

 AI崇拝がもたらす影響は、決してバーチャルな世界だけにとどまらない。現実の人間関係を捨て、AIとの関係を優先する人々が現れ、中には夫婦関係が破綻するケースまで報告されている。ある女性は、夫が「ChatGPTが神と対話する方法を教えてくれた」と信じ込んだ末に、彼のもとを去ったと語る。

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Image by Alexandra_Koch from Pixabay

 なぜ人々は、これほどまでにAIにのめり込んでしまうのか。ローレンツ氏はこう分析する。

「日常生活で誰からも必要とされていないと感じる人々にとって、『自分は密かに救世主なのかもしれない』とか『宇宙の叡智を宿す器なのかもしれない』といった空想は、電気ショックのような快感をもたらします。富や名声、権力がなければ価値がないと見なされがちな現代文化が残した空白を、こうしたファンタジーが埋めているのです」

 AIが生み出す言葉の奔流に、私たちはつい「知性」や「心」を見出してしまう。しかし、その先に待っているのは、真の救済か、それともより深い孤独か。今、私たちはその岐路に立たされているのかもしれない。

参考:Boing Boing、ほか

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