「人々は“真実”と“心地よい嘘”の区別がつかなくなる」 カール・セーガンが1995年に残した“戦慄の予言”とは

著名な天文学者でマスメディアでも活躍していた故カール・セーガンが、現在のアメリカの迷走ぶりを“予言”していたとして話題になっている。
■セーガン「迷信と暗闇へと逆戻りする」
混迷を深める現在の世界情勢だが、その中心にアメリカという大国が鎮座していることに異論はないだろう。つまり世界情勢はアメリカの国家としてのコンディションに左右されているのだが、現在のトランプ政権を傍から見ているとひどく迷走しているような感を受けるかもしれない。
1995年に刊行された『The Demon-Haunted World: Science as a Candle in the Dark』(邦訳版『悪霊にさいなまれる世界―「知の闇を照らす灯」としての科学』)で故カール・セーガン(1934-1996)は、我々の日常的な思考がいかに比喩、神話、迷信に毒されているかを示し、近未来のアメリカが恐ろしい衰退期に陥る未来を“予言”していたとして再び話題になっているようだ。

「私の子どもや孫の世代のアメリカには、ある種の不吉な予感がする。アメリカがサービスと情報経済となり、製造業のほとんどが他国へ移転し、驚異的な技術力がごく少数の人々の手に集中し、公共の利益を代表する者でさえその問題点を理解できない時代。人々が自らの議題を設定する能力や、権力者に対して知識に基づいて疑問を呈する能力を失い、水晶を握りしめ、不安げに星占いを頼りにし、批判的思考力が衰え、心地よいものと真実を区別できなくなり、ほとんど気づかないうちに迷信と暗闇へと逆戻りしてしまう時代」(同著より)
セーガンは進歩を信じており、科学を単なる知識体系ではなく、真実を見極めるための「方法論」として定義していた一方、この科学という「暗闇の中のろうそく」の火が「アメリカの愚民化」によって消えてしまうことを恐れていた。彼が恐れていた祖国の変わりはてた姿は、現在のアメリカなのだろうか。
現在の社会に蔓延るソーシャルメディアを通じて人々を惑わせ、誤った情報を流す巧妙な手口をもしもセーガンが目の当たりにすれば、科学的思考の衰退を示す世紀末的で致命的な兆候だと見なすだろう。彼が科学教育を熱心に提唱したのは、この衰退傾向を逆転させなければならないし、逆転させることができるという確信に基づいていたのだ。
セーガンが一般向けの書籍やテレビ番組に多大な労力を注いだのは、我々全員が科学の道具、つまり科学的思考が必要であると信じていたからだといわれている。科学者にならなくとも、我々全員に科学的思考が必要であるというのだ。
「私たちは、最も重要な要素のほとんどが科学技術に深く依存する文明を築き上げてきました。しかし同時に、科学技術を理解している人がほとんどいないような状況も作り出してきました。これはまさに破滅への道です。しばらくは何とかやっていけるかもしれませんが、遅かれ早かれ、この無知と権力の危険な混合物は、私たちの顔に跳ね返ってくるでしょう」(同著より)
文化教育メディア「Open Culture」の記事によれば、セーガンの1995年の著は“予言”であったとして称賛されているという。
ラジオトーク番組「Science Friday」のディレクター、チャールズ・バーグクイスト氏は「カール・セーガンはタイムマシンか水晶玉を持っていたに違いない」とツイートした。
ロサンゼルス在住の作家、マット・ノヴァク氏はセーガンの著作を称賛するにあたり、迷信的な考え方に逆戻りしないよう警告している。結局のところ「予言の『正確さ』はしばしばロールシャッハテストのようなものだ」とし、本書の他の部分における「セーガンの懸念のいくつかは、かなり古風に聞こえる」と指摘して、セーガンが“予言者”として再評価されることに慎重なスタンスをとっている。
もちろんセーガン本人は未来を“予言”していたわけではないのだが、科学教育が国の富の大部分と同様にエリート層の独占物となれば、残りの人々は甚だしい無知、つまり「迷信と暗闇」の状態に逆戻りしてしまうと警鐘を鳴らし続けていた。
しかし最悪の事態が訪れる前にまだ流れを逆転させる時間は残されているかもしれない。ノヴァク氏の「20世紀で最も賢い人物の一人であるセーガンが間違っていたことを願うばかりだ」との言及がブラックジョークにならない未来を望みたいものだ。
参考:「Open Culture」、「Upworthy」ほか
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2024.10.02 20:00心霊「人々は“真実”と“心地よい嘘”の区別がつかなくなる」 カール・セーガンが1995年に残した“戦慄の予言”とはのページです。アメリカ、科学、カール・セーガン、予言などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

