数百万匹の蚊が「生物兵器」として空から撒かれていた!? 機密解除文書が暴いた米軍“蚊の大群・致死作戦”のヤバすぎる実態

Image by Егор Камелев from Pixabay

 蚊の群れが恐ろしい生物兵器に変わる――。機密解除されたペンタゴンの文書では米軍が蚊の大群を生物兵器に仕立てあげる実験を行っていたことが明らかになっている。

■冷戦期の米軍が目論んだ蚊の生物兵器化

 英紙「Daily Mail」によると1977年にひっそりと機密解除され、米国防総省の科学技術情報に関する公式図書館である国防技術情報センターのウェブサイトに掲載された69ページの報告書が発掘されたという。

 その文書には米陸軍の機密プログラム「プロジェクト・ベルウェザー(Project Bellwether)」の詳細が記されており、暑い砂漠地帯の屋外で蚊がどれだけ人を刺すかを研究するための実地実験が行われていた。

 1959年9月から10月にかけて実施されたこれらの実験の目的は、敵軍や人口密集地域に対して使用される生物兵器として蚊の効果を評価するためのデータを収集することであった。

 軍事研究者らは、ジカ熱、デング熱、黄熱病、チクングニア熱などの危険な病気を媒介することで知られる、ヒトを刺す蚊であるネッタイシマカを使用した。

 報告書によるとこれらの実験は数年前に始まっており、すでに複数の蚊に関するプロジェクトが実施されていた。

画像は「Daily Star」より

 1958年のビッグ・バズ作戦(Operation Big Buzz)では米陸軍は、ジョージア州サバンナの黒人住民が大多数を占めるカーバー・ビレッジ地区にで30万匹以上のネッタイシマカを放ち、蚊の拡散能力と人間集団への吸血率を検証した。

 1962年のドロップ・キック作戦(Operation Drop Kick)は、数百万匹の蚊を繁殖させて放ち、一連の野外試験をフロリダ州で実施した。研究者たちは蚊がどれくらいの距離を移動できるか、放たれた後にどれくらいの期間生存できるか、そして積極的に人間を探し出して刺すかどうかを調べたのだ。

 いずれの実験でも使用された蚊は病原体には感染していなかったが、検証の結果、蚊は空中放出後も生存し、人間を見つけて吸血できることが示され、蚊が生物剤の媒介者として活用できる可能性が確認された。

 米兵を対象とした実験も行われている。

 1960年の国防総省の報告書は、ユタ州の砂漠地帯で蚊に刺されることを志願した米兵52人を対象とした実地実験を実施したことが記されている。

 米陸軍化学部隊のチームは、ネッタイシマカが慣れ親しんでいた熱帯気候とは大きく異なる高温乾燥地帯で蚊が生き延びて効果的に吸血できるかどうかを特に調べた。またこれらの蚊が強風、極端な気温、強い日差しといった特定の気象要因にどのように対処するかについても調査した。

 研究結果から病原体を媒介する蚊は、本来の生息地とは異なる場所に放たれた場合でも、標的を刺して感染させる能力を維持することが明らかになった。ネッタイシマカは15度以下の気温でも効果があるとされており、幅広い気候条件において生物兵器の選択肢となり得ると考えられるという。

 冷戦時代のCIAではダニを使った生物兵器を開発する秘密研究プロジェクトがあったとも噂されているのだが、蚊を使った実験が存在していた事実から、ダニを使った研究も実際に行われていた可能性は大いにありそうだ。

 mRNAワクチン技術の基礎を築くのに貢献したロバート・マローン博士は、冷戦時代の生物兵器計画に関する機密解除された政府文書を分析し、ライム病の蔓延とCIAの実験との関連性を突き止めたと主張した。

 マローン博士によれば、1960年代にバージニア州で28万2000匹以上の放射性ダニが放出されたとされ、ライム病が最初に確認されたコネチカット州にある連邦研究所とプラム島で野外ダニ研究が行われていたという。

 マローン氏の報告書は、この研究は冷戦時代のより大規模な生物兵器計画、通称「プロジェクト112」の一部であり、ダニを利用して病原体を拡散させる方法を研究することを目的とした数十件の秘密実験が含まれていたと主張している。

 はたして冷戦期の米政府にダニを生物兵器化する計画があったのだろうか。そしてその研究はウイルスなどにも及んで現在も続けられているのか。今後のさらなる情報開示に注目していきたい。

参考:「Daily Mail」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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