核爆弾で小惑星は破壊できるか? 映画『アルマゲドン』の手法が「最も現実的な選択肢」に… アポフィス接近への備え

1998年に公開された映画『アルマゲドン』は、地球に迫る小惑星を核爆弾で破壊するという突飛な設定で、当時の科学者たちから酷評を浴びた。
だが、あれから約30年が経った今、中国の研究チームによる最新のシミュレーションが、この荒唐無稽なプロットに科学的な裏付けを与えつつある。
核爆弾を小惑星の内部深くに埋め込んで爆発させる手法は、単に「可能」なだけでなく、現時点で最も効率的な惑星防衛策だというのだ。もっとも、実際の作戦を担うのはブルース・ウィリス演じる石油採掘員のクルーではなく、無人探査機になる見込みだという。
「映画のバカげた設定」が最も効率的な惑星防衛法に
研究チームがコンピューターシミュレーションで検証したところ、直径50メートルの小惑星であれば、30万トン(300キロトン)級の核爆弾で完全に粉砕できることが分かった。これは広島に投下された原爆「リトルボーイ」の約20倍の威力に相当する。
直径100メートルの小惑星に対しては、リトルボーイの約200倍にあたる300万トン(3メガトン)級の核爆弾を使えば、安全な大きさの破片へと砕くことができるという。
さらに直径1キロメートルにも及ぶ、いわゆる「シティキラー」級の巨大小惑星であっても、この規模の爆発を適切な位置で起こせば、地球への衝突軌道からそらすことが可能だとしている。
エネルギーを逃さない「二段階作戦」
これまでも核爆発で接近する小惑星の軌道を変えたり破壊したりする案は理論上検討されてきた。だが大きな壁として立ちはだかっていたのが、爆発エネルギーの大半が宇宙空間へそのまま逃げてしまい、小惑星本体にほとんど伝わらないという問題だった。
研究チームが提案するのは、人の手で穴を掘る手間をかけずにこの問題を解決する、意外にもシンプルな二段階方式だ。まず金属製の「貫通体」を搭載した探査機を、可能な限りの高速で小惑星の側面に衝突させ、クレーターを作る。
その後、このクレーター内、地表から約20メートルの深さで核弾頭を起爆させることで、爆発エネルギーを効率よく小惑星内部へ叩き込む仕組みだという。

4万個超の接近天体と、2029年に迫る「アポフィス」
現時点で、地球に衝突する軌道上にあると確認されている大型の小惑星は存在しないという。しかし専門家たちは、いずれそうした天体が発見される可能性を懸念している。
1990年代に本格的な観測が始まって以来、天文学者たちはこれまでに4万個を超える「地球近傍天体」を記録してきた。非営利団体プラネタリー・ソサエティの推計によれば、そのうち266個は都市を壊滅させるほどの規模を持ち、月よりも地球に近い距離を通過したことがある、あるいは今後通過する見込みだという。
中でも注目されているのが、直径450メートルの小惑星アポフィスだ。2029年4月13日、地球のごく近くをかすめる「超至近距離」の接近が予定されており、各国の惑星防衛機関がすでに警戒態勢を強めている。
映画のような荒唐無稽な発想が、最先端のシミュレーションによって「最も現実的な選択肢」へと格上げされつつあるのは皮肉な話だ。この手法が実際に使われる日が来るかどうかは、まだ誰にも分からない。ただ、いつか地球に牙を剥くかもしれない小惑星に対し、人類が『アルマゲドン』さながらの切り札を静かに準備し始めていることだけは確かなようだ。

参考:Daily Mail – Sci-Tech、ほか
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