「対策しなければ必ず衝突する」NASAが打ち上げる小惑星監視望遠鏡 —— 2029年、月より内側を通過する巨大天体アポフィスの脅威

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 対策を打たなければ、いつか危険な小惑星が地球に落ち、人が傷つき、命が奪われる——その確率は「100パーセント」だという。落ちるのは明日かもしれないし、100年後かもしれない。

 いたずらに恐怖を煽る言葉ではなく、専門家が冷静に指摘する「いつか必ず起きること」への警告だ。この見えざる脅威に備え、NASAが新たな”宇宙の見張り番”を打ち上げようとしている。

3分の2の危険天体を炙り出す望遠鏡「NEO Surveyor」

 NASAが投入するのは、地球近傍天体(NEO)を専門に監視する宇宙望遠鏡「NEO Surveyor(ニア・アース・オブジェクト・サーベイヤー)」だ。潜在的に危険な小惑星や彗星を検出することに特化した設計で、現在はその部品がアメリカ各地で製造・試験・組み立ての最終段階に入っているという。

 打ち上げ予定は2027年9月。軌道投入後、5年間にわたり太陽系の内側を見張る計画だ。

 主目標として掲げられているのが、直径140メートル以上の潜在的に危険な小惑星のうち、少なくとも3分の2を発見すること。この規模の天体は、都市を丸ごと消し去るだけの破壊力を秘めている。今回の発表は、6月30日の「国際小惑星デー」が10周年を迎える節目に重なった。

 計画の主任研究者であるUCLAのエイミー・メインザー氏は、長年パワーポイントの資料やメモの中にしか存在しなかった構想が、ついに本物のハードウェアとして目の前に姿を現したことへの感慨を口にしている。

 惑星協会の主任科学者ブルース・ベッツ氏は、何も対策を講じなければ危険な小惑星の衝突は「100パーセント」の確率で訪れると指摘し、それが明日なのか100年後なのかは誰にも分からないと警告している。


エンパイアステートビルより巨大な「アポフィス」、2029年に接近

 そんな中、天文学者が固唾を飲んで見守る「主役級」の天体がある。破壊神の名を冠した小惑星「アポフィス」だ。

 その幅は約450メートル。ニューヨークのエンパイアステートビルをも上回る巨体である。この天体が2029年4月、地球からわずか約3万2000キロ以内を通過すると予測されている。

 これは月までの距離の10分の1以下という、天文学的にはあまりに至近距離だ。人工衛星が回る高度よりも地球寄りを掠めることになり、条件が合えば肉眼でその姿を捉えられるという。

 NASAが2025年6月にまとめた報告では、アポフィスは大都市圏を壊滅させるだけの破壊力を持ちうるとされている。ただし——ここが重要なのだが——今後100年間にわたって地球への衝突は否定されている。2029年の接近も、あくまで”ニアミス”であって激突ではない。それでも、これほどの巨体がこれほど近くを通り過ぎる機会は、人類にとって格好の観測チャンスとなる。

TNT火薬3億トン——「いつか」に備える人類の選択

 では、仮に140メートル級の小惑星が直撃したら、地球には何が起きるのか。

 試算によれば、そのエネルギーはTNT火薬に換算して3億トン相当。人類が製造した史上最強の核兵器「ツァーリ・ボンバ」の、実に6倍もの破壊力に達するという。都市ひとつが消し飛ぶという表現は、決して誇張ではない。

 小惑星の衝突は、地震や噴火と違い、事前に発見できれば軌道を計算して対処する時間を稼げる数少ない自然災害でもある。だからこそ、まず「どこに何があるのか」を把握する監視の目が欠かせない。NEO Surveyorが担うのは、その最初の一歩だ。

 対策を怠れば衝突は必ず訪れる——その「いつか」が明日でないという保証はどこにもない。人類が空を見上げて備えるのか、それとも恐竜のように何も知らぬまま「その日」を迎えるのか。2027年に宇宙へ放たれる一台の望遠鏡は、その分かれ道に立つ私たちの選択そのものなのかもしれない。

参考:LADbible、ほか

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