氷河融解→大噴火→温暖化加速… 科学者が解き明かした“負の連鎖”の恐怖!最悪のシナリオは現実になるのか

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 地球環境に壊滅的ダメージをもたらす火山の大規模噴火のリスクが高まっているという。氷原の氷が溶けはじめると、その下にあるマグマの爆発力が高まってくるというのだ――。

■氷河の融解が噴火の爆発力を高める

 イタリアやインドネシアなどで火山の噴火が続いているが、現在、専門家は気候変動により世界中の何百もの休火山が活発化し、噴火する可能性が高いと警告している。

 米ウィスコンシン大学マディソン校の研究者らは、先日にチェコ・プラハで開催された「ゴールドシュミット会議」での研究発表で、氷河の融解が将来、より爆発的でより頻繁な火山の噴火を静かに準備している可能性があると述べている。

 また、北米、ニュージーランド、ロシアなどの地域でも噴火の危険にさらされる可能性があるという。

「氷河は、その下にある火山の噴火量を抑制する傾向がある」と研究論文の著者の一人、パブロ・モレノ・イェーガー氏は説明した。

「しかし、気候変動により氷河が後退するにつれ、これらの火山はより頻繁に、より爆発的に噴火するようになるだろうと、私たちの研究結果は示唆しています」(イェーガー氏)

 研究チームは、現在休火山となっているモチョ・チョシュエンコ火山を含むチリ南部の6つの火山でアルゴン年代測定と結晶分析を行い、パタゴニア氷原の前進と後退が過去の火山活動にどのような影響を与えたかを調査した。

 さらに過去の噴火の正確な年代を特定し、噴火した岩石の結晶を分析することで、氷河の重さと圧力が地下のマグマの特性をどのように変えたかを追跡した。

 研究チームは、最終氷河期のピーク時(約2万6000~1万8000年前)には厚い氷に覆われて噴火の量が抑えられ、地表から15キロ下までマグマの大きな溜まりができていたことを突き止めた。

 最終氷河期の終わりに氷床が急速に溶け、この突然の重量減少によって地殻が“緩み”、マグマ内のガスが膨張した。この圧力の高まりにより、深部の貯留層から爆発的な火山噴火が引き起こされたのだ。

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 このような大規模の火山噴火で何が起きるのか。

 研究者らは、火山活動の増加は地球規模の気候に影響を及ぼす可能性があると説明した。

 短期的には、噴火によってエアロゾルが放出され、一時的に地球を冷却する可能性がある。これは1991年にフィリピンのピナツボ山が噴火したときに見られ、この時に地球の気温が約0.5度下がった。

 しかし噴火が複数回起こるとその影響は逆転する。

「時間の経過とともに、複数回の噴火の累積的な影響により、温室効果ガスが蓄積し、長期的な地球温暖化につながる可能性があります」(イェーガー氏)

 氷河の融解が噴火を引き起こし、その噴火がさらに温暖化と氷河の融解を促進するという厄介なループが生まれる可能性があるという。

 はたして休火山の大規模噴火は近いのか。日本も世界有数の火山国であり、まさに我々はリスクの当事者である。災害への備えを確実にしておきたい。

参考:「Daily Mail」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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