宇宙の終焉「ビッグクランチ」はいつ起きる?科学者が描く“世界の終わり”の壮絶シナリオ

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 宇宙の終わり方は、古くから人々の想像力を掻き立ててきた。エイリアンの侵略、AIの反乱…。しかし、科学が予測する「世界の終わり」は、それらとは比較にならないほど壮大で、そして恐ろしい。そのシナリオの一つが「ビッグクランチ」だ。

 ビッグクランチとは、宇宙の始まりである「ビッグバン」とは正反対の現象。膨張を続ける宇宙が、やがてその勢いを失い、自らの重力によって収縮に転じる。そして最後には、すべての物質と空間が一点に押しつぶされ、灼熱地獄の中で消滅するという、究極の終焉シナリオである。

 かつては数ある仮説の一つに過ぎなかったが、近年の「ダークエネルギー」に関する研究によって、このビッグクランチこそが宇宙の最も有力な運命ではないか、と考えられるようになってきた。そしてコーネル大学の研究者たちは、その“Xデー”がいつ訪れるのかを、具体的な計算によって導き出した。

ビッグクランチとは何か?―宇宙膨張の逆再生

 138億年前に起きたビッグバンによって、宇宙は超高温の火の玉から急激に膨張し、冷えて固まることで、現在の星々や銀河が生まれた。ビッグクランチは、このプロセスが完全に逆再生される現象だ。

 現在の宇宙の膨張は、謎の力「ダークエネルギー」が外側へ押し広げる力によるものと考えられている。もしこの力が永遠に続くなら、宇宙は冷たく空っぽになるまで膨張し続けるはずだ。しかし、最新の観測データは、このダークエネルギーが時間と共に「弱まっている」可能性を示唆している。
そうなると、いずれは宇宙を内側へ引き込もうとする重力(専門的には宇宙定数と呼ばれる)がダークエネルギーの力を上回り、宇宙全体が収縮へと転じることになる。それはまるで、空へ投げ上げたボールが頂点に達した後、地球の重力に引かれて落下してくるのと同じだ。

終焉の兆候―私たちは気づくことができるのか?

 では、もしビッグクランチが始まったら、私たちはそれに気づくのだろうか。専門家によれば、その変化はあまりにも壮大なスケールで、億年単位の時間をかけてゆっくりと進むため、数百年から数千年しか存在しない人類のような文明が、日常生活で異変に気づくことはないという。

 しかし、もしその時代に天文学者がいれば、決定的な兆候を捉えることができるだろう。遠くの銀河が、それまで我々から遠ざかっていた(赤方偏移)のが、一転してこちらへ向かって突進してくる(青方偏移)のが観測されるはずだ。それが宇宙の終わりへのカウントダウンが始まった合図となる。

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灼熱地獄へのカウントダウン

 宇宙の収縮が始まると、最初の明確な変化は「宇宙全体の温度上昇」として現れる。膨張によって冷えてきた宇宙が、今度は圧縮されることで急激に熱を帯びていくのだ。

 今から約130億年後、宇宙のエネルギー密度は現在の1000倍に達する。そこからわずか5億年後にはさらに1000倍になり、宇宙空間そのものが「室温」程度になるという。もはや太陽に温められるのではなく、宇宙そのものが私たちを熱するようになるのだ。
その数百万年後には、宇宙全体が太陽の表面と同じくらいの灼熱地獄と化す。ハーバード大学のアヴィ・ローブ教授は「言うまでもなく、人類はこの宇宙規模の地獄の業火に焼かれて消滅するでしょう」と語る。

 最終的に、宇宙は物理学で想定される最高温度「プランク温度」に達し、原子核さえもバラバラに引き裂かれる。惑星や恒星は押しつぶされ、あらゆる物質が超高密度のスープとなる。この地獄を生き延びられるのはブラックホールだけだ。彼らは周囲の超高密度の物質を貪り食い、さらに巨大化する。そして最後には、そのブラックホールさえも含むすべてのものが、ビッグバン以前のような無限の密度を持つ一点(特異点)へと押しつぶされ、宇宙は完全に終わりを迎える。

“Xデー”は195億年後―ただし、その前に…

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画像はUnsplashBraňoより

 幸いなことに、この壮絶な終わりは、まだまだ遥か未来の話だ。コーネル大学のヘンリー・タイ教授らの計算によれば、宇宙の寿命は約333億年。現在の宇宙年齢が138億年なので、ビッグクランチが完了するのは今から約195億年後になるという。

 ただし、安心するのは早い。その前に私たちの太陽が寿命を迎える。今から約50億年後、太陽は燃料を使い果たし、赤色巨星となって膨張を始める。その巨大な炎は、地球を含む内側の惑星を飲み込んでしまうだろう。

 ビッグクランチが始まる遥か以前に、私たちの故郷である地球は太陽に焼き尽くされているのだ。「人類が生き延びるためには、太陽系の果てか、それ以上の場所へ移住しなければなりません。その旅の準備をする時間は、まだ数十億年残されていますがね」とタイ教授は語る。

 宇宙の終焉を心配する前に、私たちはまず自分たちの太陽からどうやって逃げるかを考えなければならないようだ。

参考:Daily Mail Online、ほか

TOCANA編集部

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