「不吉な前兆か」奇跡の湖“ガリラヤ湖”が不気味な真紅に… 聖書の“終末預言”が現実となるのか

イエスが水を歩き、奇跡を起こしたとされる聖なる湖、ガリラヤ湖。その湖水が、今、不気味な血の色に染まっている。イスラエルにあるこの淡水湖の岸辺に、真紅の波が打ち寄せる光景は、地元住民や巡礼者たちに「不吉な前兆ではないか」と大きな動揺を与えている。SNS上では、これが聖書に記された「終末のしるし」ではないかという声が飛び交い、世界中を巻き込む騒動へと発展している。
「神の災いが再来した」旧約聖書の“十の災い”
この不気味な光景を見て、多くの人々が思い浮かべたのは、旧約聖書の「出エジプト記」に記された物語だ。神が古代エジプトに下したという「十の災い」。その最初の災いが、モーセの杖によってナイル川の水が血に変わるというものだった。
「主はこう言われる。『これによって、あなたはわたしが主であることを知るであろう。見よ、わたしは手に持っている杖でナイルの水を打つ。すると、水は血に変わる』」(出エジプト記 7章17-21節)
歴史的に、キリスト教やユダヤ教にとって極めて重要な意味を持つガリラヤ湖が、まるでこの聖書の記述をなぞるかのように赤く染まったのだ。この黙示録的な光景が、「終末の預言が現実になった」という恐怖を煽るのも、無理はないのかもしれない。

科学が解き明かす“赤い海”の正体
しかし、この終末論的な騒ぎに対し、科学者たちは冷静な見解を示している。イスラエルの環境省が発表したところによれば、この変色の原因は、超自然的な現象ではなく、特定の藻類の大発生、いわゆる「赤潮」の一種だという。
原因となったのは、「ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)」という緑色の微細な藻類。この藻類は強い日光を浴びると、カロテノイドという天然の色素を体内に蓄積し、水全体を赤く見せる性質があるのだ。
現地の研究所による水質検査でも、この藻類は人体に無害であることが確認されており、不気味な色にもかかわらず、湖で泳いでも健康上のリスクはないと公式に発表されている。
聖なる湖が問いかけるもの
原因が科学的に説明されたとはいえ、この出来事が持つ象徴的な意味が消えるわけではない。新約聖書において、ガリラヤ湖はイエス・キリストが数々の奇跡を起こした舞台だ。彼が水の上を歩き、5000人にパンと魚を与え、ペテロやアンデレを弟子として召し出したのも、この湖だった。
実は、このような現象は今回が初めてではない。2021年にも、聖書でソドムとゴモラの地とされる死海近くの水たまりが同様に血の色に染まり、大きな話題となった。
聖なる湖が見せた一見不吉な光景。それは神の裁きでも終末の預言でもなく、地球の自然な営みの一部だった。しかし、この出来事は、聖書の物語が現代に生きる人々の心に、いかに深く根付いているかを改めて浮き彫りにした。そして、自然が見せる荘厳な変化に対し、畏敬の念を抱くことの大切さを、静かに教えてくれているのかもしれない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「不吉な前兆か」奇跡の湖“ガリラヤ湖”が不気味な真紅に… 聖書の“終末預言”が現実となるのかのページです。奇跡、イエス・キリスト、バイカル湖などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで