ブラックホールに突入し、データを送り返す「片道切符」の探査計画、『インターステラー』は現実になるか?

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 まるで映画『インターステラー』のような話だが、これはSFではない。科学者たちは今、ブラックホールの内部へ探査機を送り込み、永遠に失われる前に貴重なデータを地球へ送信するという計画を真剣に検討している。

 ブラックホールは、光さえも逃げ出せない強烈な重力を持つ天体だ。その内部でどのような物理現象が起きているのか、外側から観測することは不可能に近い。しかし、中国・復旦大学のコジモ・バンビ教授は、近い将来、この「不可能」が可能になると考えている。彼は、超小型の探査機を使ってブラックホールに接近し、一般相対性理論が極限状態でどう振る舞うのか、そして「事象の地平線」が本当に存在するのかといった物理学の根本的な問いに挑もうとしているのだ。

クリップサイズの探査機で星間を旅する

 バンビ教授が提案するのは、紙クリップほどの大きさしかない「ナノクラフト」だ。従来の巨大な探査機とは異なり、この極小の宇宙船は光の力で推進され、光速の一部(数分の一)という猛スピードで移動することができる。理論上は、人間の寿命内に星間移動が可能になるという。

 この技術は、すでに「ブレイクスルー・スターショット」計画などで研究が進められている。オランダ・デルフト工科大学のリチャード・ノルテ准教授は、この技術が実現に向けて進んでいるとしつつも、ブラックホール探査には独自の課題があると指摘する。「アルファ・ケンタウリのような明るい星系は見つけやすいが、ブラックホールはほぼ不可視だ。ターゲットを見つけ、そこに命中させること自体が全く異なる次元の挑戦になる」と彼は語る。

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100年越しのミッションと「見えないターゲット」

 この壮大な計画には、技術的な課題以外にも高い壁がある。それは「時間」と「距離」だ。探査機がブラックホールに到達するまでには100年以上かかる可能性があり、その間に機器が一つでも故障すればミッションは失敗に終わる。さらに、現在のところ観測可能な最も近いブラックホールでさえ地球から1560光年も離れており、現実的なターゲットにはなり得ない。

 バンビ教授の計算では、このミッションを成功させるには地球から20〜25光年以内の距離にブラックホールを見つける必要がある。しかし、彼は楽観的だ。今後5〜10年の間に、ヴェラ・ルービン天文台やナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡といった次世代の観測機器が稼働すれば、近くにある未発見のブラックホールが見つかるかもしれないと考えている。

 アインシュタインが重力波を予言してから実際に検出されるまで100年かかったように、今は不可能に思えるアイデアも、数十年後には現実になっているかもしれない。「こうした提案は我々の想像力を広げ、解決すべき課題を浮き彫りにしてくれる」とノルテ准教授は語る。科学の進歩は、常にこうした大胆な夢想から始まるのだ。

 誰も見たことのない暗闇の向こう側から、人類の常識を覆すデータが届く日を心待ちにしたい。

参考:Popular Mechanics、ほか

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