【奇跡かトリックか】“油の涙”を流す聖母マリア像の謎、科学調査が暴いた“涙”の正体と、それでも消えない謎

オーストラリア、パース郊外のロッキングハムにあるカトリック教会。ここに安置された一体の聖母マリア像が、長年にわたり宗教的な論争の中心となっている。高さ約70センチのこの像を一目見ようと、世界中から何千人もの巡礼者が訪れる。その理由はただ一つ、「油の涙」を流す奇跡を目撃するためである。
突如として始まった「涙」と教会の調査
この聖母マリア像が教会に設置されたのは2003年のこと。すると、展示からわずか数ヶ月で、像が油のような涙を流し始めたと、訪問者たちが次々と証言し始めたのである。
信者たちが「奇跡だ」と騒ぎ立てる中、地元の大司教はこの現象に関する正式な調査を開始した。大司教自身は「奇跡を信じている」と公言しつつも、「これが間違いなくその一つであると断定することはまだできない」と慎重な姿勢を見せた。
教会が何かを公式な「奇跡」として認定するためには、厳格な基準を満たす必要がある。しかし、今回のような「涙を流す聖母像」に関する明確なガイドラインは存在しなかった。一方で、この現象を神の介入以外で説明することもまた、困難であった。
科学調査で判明した意外な事実
論争を鎮めるため、像は医師、聖職者、そして微生物学者からなる専門家チームによる徹底的な調査を受けることになった。4日間にわたり、拡大鏡、X線、CTスキャンを駆使して像の内部まで調べられたが、何者かが手を加えた痕跡、例えば「外部から液体を通すための隠された管」のようなものは一切発見されなかった。像は完全な空洞であることが確認されたのである。
しかし、科学的な分析は、涙の正体について意外な事実を突き止めた。涙の成分は、バラの精油を混ぜた植物油であったのだ。これは、人為的な介入があった可能性を強く示唆する結果であった。

謎は深まる―涙が止まった「2つの期間」
調査チームは、像が涙を流すタイミングのパターンも記録した。涙は、聖ヨセフの祝日である3月19日に始まり、その年のイースター(復活祭)の4日間、そして聖母被昇天の祝祭日にも続いたという。
しかし、大司教は、像が涙を流さなかった2つの期間があったことを明らかにした。
「一つは、我々が像を調査していた4日間。そしてもう一つは、私が像を教区司祭のオフィスに隔離するよう命じた1ヶ月間だ」
つまり、像は誰にも見られていない密室や、科学的な調査下では涙を流さなかったことになる。
大司教は最終的に、「これが奇跡でなかったとは言わない。ただ、十分な証拠がないだけだ。どのようにして起こったのかは分からないが、他の解釈も可能である」と結論付けた。
徹底的な調査の後、この「涙を流す聖母像」は、元の所有者である教区民の元へと返還された。そして、二度と教会で公開されることはなかったという。
これは、神が起こした本物の奇跡だったのか。それとも、人間の信仰心が生み出した巧妙なトリックだったのか。その真相は、今も謎に包まれている。
参考:Express、ほか
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2024.10.02 20:00心霊【奇跡かトリックか】“油の涙”を流す聖母マリア像の謎、科学調査が暴いた“涙”の正体と、それでも消えない謎のページです。涙、奇跡、マリア像などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで