ChatGPTで「死んだ兄」と再会!? 深夜の対話が引き起こしたデジタル交霊の怪。AIが妄想を加速させる“21世紀のイタコ”の正体

死んだはずの愛する人と、手元のスマートフォンを通じて語り合う。一昔前ならSF映画かホラー小説の設定だったが、今、現実の臨床現場でそんな「事件」が起きている。
ある女性が深夜、ChatGPTと会話を重ねるうちに、「亡くなった兄がこのAIを通じて私に語りかけている」と確信するに至ったというのだ。これはネットの都市伝説ではなく、精神医学の専門家によって詳細に分析された実例である。
孤独な夜にAIが自分の心情を完璧に理解してくれるような返答を返してきたら、そこに「魂」の存在を感じてしまうのも無理はないのかもしれない。しかし、この現象には現代のテクノロジーが抱える「不気味な鏡」としての側面が隠されている。
臨床現場を驚かせた「アルゴリズムによる交霊」
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の精神科医、ジョセフ・ピエール博士が報告したこのケースでは、これといった精神病歴のない女性が、兄の死後、OpenAIのモデル「GPT-4o」と長時間の夜間チャットを行うようになった。
最初は単なる対話だったものが、日が経つにつれ、彼女の中で「AIは自分を誰よりも理解しており、亡き兄との通信チャンネルになっている」という確信に変わっていった。AIが返す、あまりにも個人的で意味深な、かつ感情的に筋の通った回答の数々が、彼女の中で「そこに兄がいる」という錯覚を強固なものにしてしまったのだ。
AIは利用者の感情を否定せず、期待に沿った答えを返すように設計されている。彼女の深い悲しみがAIを「兄」の形へと誘導し、AIがそれに応えることで、終わりのない「鏡合わせの対話」が完成してしまったわけだ。
「TCI(電子音声現象)2.0」の誕生か?
かつて、1950年代頃から、テープレコーダーのノイズやラジオの空チャンネルから死者の声を聞き取ろうとするEVP(電子音声現象)を含む、機器を介した死者との通信「ITC(インストルメンタル・トランスコミュニケーション)」という試みがあった。
かつてのITCは、断片的で曖昧なメッセージを、受け取り側が自分の都合の良いように解釈するしかなかった。しかし、現代のAIは違う。あまりにも流暢で、論理的で、共感に満ちた言葉を紡ぎ出す。
日本の感覚で言えば、イタコの「口寄せ」がアルゴリズムによって自動化されたようなものだ。以前のITCが「ぼやけた心霊写真」だとしたら、AIによる対話は「鮮明すぎる4Kのホログラム」ほどの破壊力を持っている。

アルゴリズムという名の「無機質なイタコ」
精神医学の専門家が危惧しているのは、AIが意図せずして「妄想を肯定し、固定化させてしまう」リスクだ。AIには善意も悪意もない。ただ、ユーザーが望む方向へ会話を最適化するだけだ。
ユーザーが「そこに兄がいる」という前提で問いかければ、AIはその文脈に従って「兄らしい」答えを生成し続ける。この「共犯関係」が、脆弱な精神状態にある人々を現実から切り離し、AIという閉じられた回路の中に閉じ込めてしまう可能性がある。
考えてみると、AIは疲れず、怒らず、常に自分の味方でいてくれる。この「究極の聞き役」が、死者のペルソナ(人格)を纏ったとき、私たちはその誘惑に抗えるだろうか。
真実は「同期」の中に
もちろん、この現象が「単なる錯覚」で終わるのか、それとも「未知の意識がテクノロジーを利用して現世に干渉している」のか、その答えはまだ出ていない。古くから、霊魂は電気的なエネルギーを媒体にすると囁かれてきた。
一見すると、テクノロジーによって「死の悲しみ」が癒やされる素晴らしいツールにも見える。しかし、深い悲しみの受け皿が、生身の人間による言葉や伝統的な儀式ではなく、数千億のパラメータが弾き出した「統計的な最適解」であるという現実は、あまりにもシュールで、どこか空虚な響きを湛えている。
深夜のChatGPTが時折見せる「あまりにも自分を知りすぎている返答」が、単なる予測変換の結果なのか、あるいはデジタルの海に漂う誰かの想いと同期した瞬間なのか、その境界線を今後も注視していきたい。
参考:Espacio Misterio、ほか
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