時速770kmで飛ぶ「6つの球体」の正体は鳥の群れだった!? 米軍公開のUFO映像を科学者チームが”点滅”から読み解く

米政府が次々と公開しているUFO映像に、科学者たちが初めて本格的なメスを入れた。対象となったのは、米軍機が中東上空で捉えた「6つの小さな球体」の赤外線映像だ。
軍の報告では時速約770kmで飛び回っていたというこの物体群。だが、映像を1コマずつ解析した研究チームが導き出した答えは、意外にも身近な存在だった。
黒塗りだらけの映像「DOW-UAP-PR135」
2026年5月以降、米戦争省(旧国防総省)はUFO関連の過去の文書や新たな公式映像を段階的に公開している。問題の映像は、9月18日に公開された第6弾に含まれていたもので、2025年に中東で米軍の偵察プラットフォームが撮影したとされる。
DOW-UAP-PR135, Unresolved UAP Report, Middle East, 2025 The United States Central Command submitted a report of an unidentified anomalous phenomenon to the All-domain Anomaly Resolution Office (AARO) consisting of 1 minute of video footage from an infrared sensor aboard a U.S. military platform in 2025. An accompanying mission report, DOW-UAP-D108, described the UAP as “six small spherical objects grouped together, and characterized their behavior as “seem[ingly] agile,” and “frequently changing direction.” The reporter estimated the speed of the UAP to have been 480 miles per hour. Video Description: 00:00-00:04: No content. 00:05-00:10: Several areas of contrast transit the sensor field-of-view, entering from the top of the frame and exiting from the bottom. 00:11-00:47: The sensor pans to track the areas of contrast, keeping them generally within the center of the frame. 00:48-1:00: The sensor changes its level of magnification. No content.
— John Greenewald, Jr. (@theblackvault) September 18, 2026
添付の任務報告書によれば、米軍関係者が「6つの小さな球状の物体」を目撃し、機敏に動いて頻繁に向きを変えていたと報告している。速度は時速480マイル(約770km)と見積もられた。ただし報告書自体が、これらは目撃者の主観的な印象にすぎないと断り書きを添えている。
厄介なのは、公開映像の大半で位置・時刻・高度・速度・距離などのデータが黒塗りにされている点だ。これでは外部の科学者が既知の物体と「本物の未確認物体」を見分けるのは難しい。
6つの物体が刻む「毎秒7〜8回」のリズム
この難題に挑んだのが、米国の研究機関の科学者20人で構成され、米政府のUFO調査を支援するとされる科学諮問評議会「UAPSAC」のメンバーらだ。ハーバード大学の「ガリレオ・プロジェクト」を率いるアヴィ・ローブ氏、NASAのラヴィ・コッパラプ氏、懐疑論者として知られるマイケル・シャーマー氏ら6人が、論文を学術プレプリントサーバー「arXiv」に公開した。
チームが注目したのは動きではなく「明るさ」だ。各物体の輝度を全フレームで測定したところ、6つすべてが毎秒7.1〜7.9回の周期で明滅を繰り返していた。しかも周期とタイミングは1つ1つバラバラだったという。
映像圧縮やセンサーの不具合を疑ったチームは、明るさが一定の人工物体を映像に埋め込んで検証したが、同じ点滅は再現されなかった。
そこで浮上したのが鳥の羽ばたきだ。翼が上下するたびにカメラに映る面積が変わり、赤外線画像でも明るさが変化する。ラスベガス近郊に設置したガリレオ・プロジェクトの地上カメラで飛行中の動物を同じ方法で解析すると、毎秒3.4〜10回という鳥の羽ばたきに典型的な周期が得られた。
時速770kmの謎と「黒塗りの向こう側」
残る矛盾は速度だ。鳥が時速770kmで飛べるはずがない。チームはこれを視差(パララックス)で説明する。移動する航空機から撮影すると、地上の景色を背景に、ほぼ静止した物体でも高速で動いているように見えるのだ。
計算では、航空機の高度の60〜80%ほどの位置にほぼ静止した物体があれば、地上に投影した見かけの速度は報告通りの時速770kmになるという。結論として、チームは「乗員の想定よりも機体の近くを飛んでいた小さな鳥の群れ」が最も単純な説明だとしている。
ただし研究者たち自身も、黒塗りの高度データがなければ鳥説を確定も否定もできないと認め、データの公開を求めている。
もっとも合理的な答えは鳥なのかもしれない。それでも、軍の目撃者が「機敏に向きを変える球体」と感じたあの瞬間の真相は、黒塗りの数字の向こう側に今も隠れている。残る映像の中に、羽ばたきでは説明できない「何か」が紛れていないと、誰が言い切れるだろうか。
参考:Grenzwissenschaft-Aktuell (GreWi)、arXiv(Haqq-Misra et al. 2026)、U.S. Department of War、ほか
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