>  > 【日本怪事件】テレビのシーンを利用?

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深笛義也

――日本で実際に起きたショッキングな事件、オカルト事件、B級事件、未解決事件など、前代未聞の【怪事件】を隔週で紹介する…!

 B級事件を見ていると、ときおりマヌケと言えるほど杜撰きわまりない犯行に、唖然とする。それで命が失われているとなると、なんとも、やりきれない気持ちになるのだが、今回はそんな“やりきれない事件”について紹介しよう。


■テレビばかり見てるとバカになります

 高速道路から下の一般道へ身代金を落とさせるという受け渡しの方法をテレビドラマで見て、その男は「これなら、完璧だ」と思ったという…。テレビばかり見ているとバカになる典型例だろう。

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画像は、『天国と地獄』(東宝)

 黒澤明の映画『天国と地獄』。この映画の中の犯人は、身代金の受け渡し場所を、特急こだまの車内に指定。捜査員も乗り込んでいた。すると、犯人から電話がかかり「酒匂川の鉄橋を過ぎたところで、身代金が入ったカバンを窓から投げ落とせ」と指示する。それに従うと、遙か下でカバンを手にした犯人は逃げおおせてしまう。これは、テレビドラマではよくみる光景でもある。
 
 今回紹介する事件で犯人が高速道路から身代金を落とさせることを考えたのは、これらのアイディアの転用にすぎなかった。

 ちなみに、これまで日本で起きた身代金目的の誘拐事件は、288件。犯人が逮捕されていない事件が8件。それらも、身代金奪取はできていない。犯人が身代金を奪って逮捕されていない事件は、1件もない。犯人は身代金を受け取りに、その場所に来なければならないのだから、それでいて逃げおおせるのは至難の業だ。少しでも頭の働く犯罪者なら、身代金目的誘拐など考えない。


【今回の事件 新城市会社役員誘拐殺人事件】

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「息子は預かった」

 愛知県新城市の松井家に、そう電話があったのは、平成15年4月18日の午前8時前だった。息子というのは、松井紀裕さん(当時、39)。父親(当時、70)が社長を務める松井建拓は、資本金3,000万円、従業員68人で、松井家は地元で有名な資産家だ。

 確かに、松井紀裕さんは、前日の午後6時半頃、商工会の会議に出席するために出かけたまま、帰っていなかった。

 犯人は松井さんの携帯電話からかけてきていた。何度も電話があり、松井さんの父と、妻の利恵子さんが応対する。犯人の最初の要求は1億円だったが「200万円だけ用意できた」と答えると、それを持ってくるようにと言った。

 午後5時20分頃、金を持って利恵子さんが出発すると、電話があるごとに、ショッピングセンター、ゲームセンター、豊川稲荷など、様々な場所を指示されてそこに行く。犯人は、捜査を攪乱しているつもりだったのだろう。だが、利恵子さんが乗っているのは偽装タクシーで、ドライバーはタクシー運転手の格好をした警察官だった。

 午後9時過ぎ、豊川インターから東名高速道路上り車線に入れ、という犯人の指示に従う。

「268.3キロポスト標識の地点から、現金入りのカバンを下の道路に投下しろ」

 犯人にそう言われて、利恵子さんは目をこらしていたが268.3キロポスト標識はなく、気がつくと、268.5キロポスト標識が目に入った。

「268.3キロポストなんかないです」と携帯を通じて利恵子さんが言う。

「そこで落とせ」と犯人は言った。

 捜査員の配備が間に合わないという警察の判断で、投下は見合わせることになった。

「危ないので止まれない」

 理恵子さんは犯人にそう言い張り、車は走り続ける。

「取引は停止だ」

 犯人はそう言った。下見などして、必要な情報を確認していなかったのだろうか? やはり、現実はテレビドラマのようにはいかない。

 犯人は、3日後に改めて交渉すると言った。

 2日後の4月20日、愛知県額田郡額田町の山林の斜面下で、松井さんの死体が発見される。着衣が乱れ、首の左右に圧迫痕があり、顔面はうっ血していて、絞殺されたと見られた。

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