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佐藤健寿

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※画像:『ヒマラヤに雪男を探す: x51.ORG THE ODYSSEY アジア編』河出書房新社

 世界各地を飛び回り、全国のオカルトや「奇妙なこと」を追い続けている、webサイト「X51.ORG」の主宰として知られる佐藤健寿氏が、『ヒマラヤに雪男を探す』を上梓した。

 今作では著者がアジアを巡りながら、自身が見聞きした事柄で、雪男=イエティの“本当の姿”を見出している。

■現地民たちのイエティ像

2005年、著者はイエティ伝説発祥の地であるネパール東部のエヴェレストの麓、クーンブ地方を訪れ、現地のシェルパから多くの証言を得た。

「シェルパにとって、イエティは神、あるいは精霊である――が根強く、あるいは西洋の探求などまるで無関係かのように、続いているということだった」

 シェルパとは、ネパールの少数民族のことであり、彼らはイエティを神や精霊のように考えているという。彼はそのことに目を付け、本書は「イエティは神なのか」ということを主軸に議論が展開していく。

「イエティ 性別=オス 主食=ヤクまたはゾッキョ(水牛の仲間)、人間は襲わない(食べない)」

「ミティ 性別=メス 主食=ヤクまたはゾッキョ、特に人間を襲う(食べない)

 イエティには雌雄の区別があり、性質がまったく異なるという。イエティの和訳が“雪男”と刷り込まれている日本人にとっては、意外性があるだろう。

「西洋人が持参した巨大ゴリラ像が、実は彼らシェルパの間においてさえ、それ以前から伝えられていた彼らのイエティのイメージと、いみじくも合致するものであった」

「かつて、チベット南東部にあるヤルン・ツァンポ峡谷のある洞窟に1匹の猿――それは菩薩が化身した猿であるという――が瞑想していた。するとそこに鬼女が現れ、猿に自分と交わるよう誘惑した。猿はそれを断ったが、鬼女がさもなくば、さらなる鬼を呼び、洞窟の外にいる生きとし生けるものすべて食い尽くす、と猿を脅迫した。そして猿はやむなくその申し出を受け入れ、彼らは交わり、結果、6匹の半人半猿(3匹のオス、3匹のメス)が生まれた。子供たちはさらに互いに交わりながらその種を広め、それがすなわち、現在のチベット民族の最初の起源となった」

「注目すべきは、(中略)「聖なる猿」と「肉を喰らう鬼女」、この二つのキャラクターが彼らチベット民族、すなわちシェルパの祖になったという点にある。いうまでもなく、これらの特徴はいみじくもオスであり、人を襲わぬ聖なるイエティと、メスであり肉=人を喰らう獣のごときミティというユニークな両者の特性をそのままなぞっているとは考えられないだろうか。」

 シェルパに伝わる神話から、彼らにとって半人半猿は自らの起源であり、信仰の対象であることを突き止めたという。そして、イエティは彼らにとっての「神」の偶像であるのではないかと推測する。

「シェルパにとってイエティは神――あるいはチベット民族の起源を担う精霊――であるならば、イエティはあくまでイエティであり、その正体は今なお謎のままであるというのが、今回の長期に及ぶヒマラヤ視察を通じて得た、文字通りの遠回りな、個人的結論である」

 彼らは神話的でありファンタジーの中の存在であると、人々は考えるだろう。ともすれば、UMAとは神話や逸話、民族の起源や宗教と何かしらの密接な関係にあるものなのかもしれない。

■UMAをUMAたらしめるモノ

「これはUMA、あるいは民間伝承的なものに往々にしてあることだが、たとえ現地を足で回ったとしても、そもそもが文献でなく、口伝であるこれらの情報について、『一次情報の正確さ』を裏付けることはほとんど不可能である」

「私自身、半分信じて、半分疑っているという『半信半疑派』とでも言えるのかもしれない」

「半信半疑な場所から、自分の足で一歩踏み出していく瞬間、自分の常識が崩されるその瞬間を、私は旅の中に、期待しているのかもしれない。そしてその時、私はきっと、51%の割合で、その何かを信じていると思うのだ。」

 現在、UMAというのは、たいてい何かしらの生物の見間違いであるとされている。しかし見間違いであるものも、確かに存在するであろうが、既存生物に似ても似つかないUMAも存在する。すべてがすべて、見間違いの一言ではすまされないのは確かだ。

 著者は自身を『半信半疑派』であると語る。だからこそ、氏はあえて、現地へ向かい綿密な調査を重ねて、その“謎の存在”を垣間見ようとしているのかもしれない。

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