【警告】人類が越えてはならない「第10の境界線」とは? 地球が呼吸困難に陥る“終わりの始まり”なのか

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 地球には、人類が生存し続けるために決して越えてはならない「一線」がいくつか存在する。科学者たちはこれを「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」と呼び、これまでに気候変動生物多様性の喪失、オゾン層の破壊など9つの指標を定めてきた。

 だが、恐ろしいことに、人類はすでにそのうち6つを突破してしまっている。そして今、科学者たちは、これまで見過ごされてきた「第10の境界線」が、地球を破滅へと導く新たな特異点になりつつあると警鐘を鳴らしている。

 それは、地球上の水域から「酸素」が急速に失われるという、前代未聞の事態だ。

窒息する海と湖:失われた酸素の衝撃

 最新の研究誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載された論文によれば、過去45年間で、世界の湖の酸素量は5.5%、貯水池では18.6%も減少した。そして、広大な海洋全体でも約2%の酸素が失われているという。

 数字だけ見ると小さく思えるかもしれないが、海全体の規模を考えれば、これは目玉が飛び出るほどの膨大な量だ。特に深刻なのがカリフォルニア沖の中層水域で、1960年代からなんと40%もの酸素が消失している。

 これは地球という生命体が、まさに「呼吸困難」に陥っているような状態だ。日本の感覚で言えば、かつて深刻な問題となった「貧酸素水塊」による魚の大量死が、今や局所的な現象ではなく、地球規模の「静かなる窒息」へと拡大しているのである。

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温暖化と「富栄養化」のダブルパンチ

 なぜこれほどまでに酸素が失われているのか。専門家たちは、二つの大きな原因を挙げている。

 一つは、言うまでもなく「地球温暖化」だ。水温が上がると、水に溶け込める酸素の量は物理的に減少する。さらに、温まった表面の水が蓋のように重なり、酸素の乏しい深い場所との循環を妨げてしまうのだ。

 もう一つの原因は、過剰な土地利用によって流れ込む「栄養塩(肥料など)」だ。これによって藻類が異常繁殖し、それらが死んで分解される過程で、水中の酸素が使い尽くされる。

 一見すると、単なる環境汚染の話に聞こえる。しかし、酸素のなくなった水底では、微生物がメタンや亜酸化窒素といった「強力な温室効果ガス」を排出し始めるという。つまり、酸素の減少がさらなる温暖化を招くという、地獄のループが始まろうとしているのだ。

文明を揺るがす「酸素のデッドライン」

 酸素不足は、まず魚や貝、エビといった水棲生物を直撃し、食物連鎖のピラミッドを根底から崩壊させる。それは巡り巡って、私たちの食卓や経済活動、さらには地球の気候システムそのものを制御不能にするだろう。

 私たちはこれまで、目に見える煙やゴミばかりを気にしてきた。だが、水面の下で密かに進行する「酸素の枯渇」こそが、人類に突きつけられた最も静かで冷酷な最後通告なのかもしれない。

 現在、9つのバウンダリーのうち6つを越え、すでに「レッドゾーン」に突入している人類。この第10の線まで完全に踏み越えてしまったとき、果たして地球は、私たちの知る「生命の星」であり続けられるのだろうか。

参考:Popular Mechanics、ほか

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