自分の遺体もプラスティネーションに…「死の博士」グンター・フォン・ハーゲンスが81歳で死去、最期の願いが叶えられる

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死体に触れることは、我々にとって最も身近なタブーに触れることだ」——生前そう語っていた解剖学者が、自らの言葉通り、死してなおその境界を越えることになった。

「死の博士」の異名で世界的に知られたドイツの解剖学者グンター・フォン・ハーゲンス氏が、2026年7月24日、81歳で死去した。彼が半世紀近くをかけて確立した遺体保存技術「プラスティネーション」は、今度は開発者自身の体に施されることになるという。

脳出血からわずか1日、81歳での死

 ハーゲンス氏はドイツ・ハイデルベルクの診療所に脳出血で緊急入院し、その翌日に息を引き取った。2010年からパーキンソン病を患いながらも、研究と展示活動を続けてきたという。

 1970年代、体液を液体プラスチックに置き換えて硬化させ、遺体の腐敗を防ぐ「プラスティネーション」の技術を開発。以来この手法で保存した人体標本や内臓の展示によって、世界中で賛否両論を巻き起こしてきた人物だ。

グンター・フォン・ハーゲンス氏 © 2000 Túrelio (Wikimedia-Commons), 2000, CC BY-SA 2.0 de, リンクによる

体液をプラスチックに置き換える技術と、世界を巡った『Body Worlds』展

 プラスティネーションで処理された人体標本は、皮膚を剥がされた状態で筋肉や血管の構造をそのまま観察できる形に加工される。ハーゲンス氏はこれらを『Body Worlds』展として世界各地で公開してきた。

 2004年にはロサンゼルスでアメリカ上陸を果たし、以後全米各都市を巡回。2006年にはドイツ・グーベンに自身の研究拠点『プラスティナリウム』を開設し、標本の製作過程そのものを公開する展示施設として運営してきた。

170年ぶりの公開解剖と『人形遊びのよう』という批判、託された最期の願い

 2002年、ハーゲンス氏は英国政府の警告を押し切り、ロンドンで170年ぶりとなる一般公開の解剖を実施した。数百人が詰めかけ満席となったこの催しを、本人は「大成功だった」と振り返っている。

 しかし英国医師会の倫理担当責任者は、この行為を「品位を欠き、遺体への敬意を欠いたもの」と厳しく批判した。聖職者のエルンスト・プルスフォート氏も、彼の手法を「子供が人形で遊ぶように遺体を扱っている」と評したという。

 こうした論争を生涯背負いながらも、ハーゲンス氏は自らの遺体をプラスティネーション処理に供することを望んでいたと伝えられる。彼が設立に関わったプラスティネーション研究所と家族は、この遺志を尊重し実行する意向を示している。

 生きているうちから死体を”見世物“に変え続けた男の最後の作品は、他ならぬ彼自身の体になるのかもしれない。その完成形がいつ、どのような形で公開されるのかは、今のところ明らかになっていない。

参考:LADbible、ほか

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