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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

今回の映画「映画誕生100年 江戸川乱歩生誕100周年記念 松竹創業100周年作品」『RAMPO』(94年)

 今年は江戸川乱歩没後50年(1965年7月28日没)にちなみ、フジテレビの深夜アニメ枠では、命日に合わせて7月から『乱歩奇譚 Game of Laplace』が放送されていた。これは、「乱歩作品初のアニメ化」という触れ込みだったが、フジテレビは1968年に虫プロダクションが制作した『わんぱく探偵団』を放送していたことをお忘なのだろうか(笑)?

 それはさておき、1994年の乱歩生誕100周年の際、同時に創業100年を迎えた松竹が総力を挙げた大作が公開された。その作品こそ、「映画誕生100年 江戸川乱歩生誕100周年記念 松竹創業100周年作品」と銘打たれた『RAMPO』だ。だが、この作品は内紛をきっかけにふたりの監督による2つのヴァージョンが作られ、同日に別々の劇場で上映されるという日本映画史上前代未聞の事態に発展した。さらに松竹社内でお家騒動が勃発し、その影響で翌年公開された海外輸出版を含める3ヴァージョンのいずれもが、未だDVD化されていない。

■『RAMPO』のあらすじ

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※画像:『RAMPO』黛りんたろうver.

 ミステリー小説を「探偵小説」と称していた昭和初期の東京。江戸川乱歩(竹中直人)は、とある事件で夫殺しの嫌疑をかけられている女性・静子(羽田美智子)に興味を惹かれる。その殺人事件の状況が、発禁になった自分の小説『お登勢登場』にそっくりだったためだ。乱歩は小説の中に、己の分身・明智小五郎(本木雅弘)を登場させ静子を助けようとしたが…。

 横溝正史役に香川照之が起用され、ほかにも佐野史郎、平幹二朗ら、実力俳優が脇を固め、現実と小説世界が交錯しながら、怪しく繰り広げられる乱歩の幻想世界……。

■名物プロデューサー・奥山和由とは?

 作品をプロデュースしたのは、35歳の若さで松竹取締役に就任した名物プロデューサー・奥山和由(現、KATSU-do代表取締役、チームオクヤマ代表取締役社長、祇園会館代表取締役社長、吉本興業エグゼクティブプロデューサーなど)。

 奥山は『その男、凶暴につき』(89年)で北野武監督を見出し、「シネマジャパネスク」なる未だよくわからない実験的プロジェクトで、ショーケン主演の伝説的テレビドラマ『傷だらけの天使』をトヨエツこと豊川悦司で映画化(97年、監督・阪本順治)、御大・今村昌平監督の『うなぎ』(97年)をヒットさせるなど、話題作を次々とプロデュースした。

 また、製作資金を投資家(企業など)から調達し興行成績に応じて配当、企画内容は投資家に文句を言わせないプロデューサー主導の「映画投資ファンド」を日本で初めて立ち上げた。奥山は90年代の邦画界を席捲した時代の寵児だった。

 しかし鳴り物入りのこの作品は、なんとヴァージョンの異なる2種類の『RANMPO』が、別々の映画館で上映されるという異常事態となった。NHKの演出家・黛りんたろう監督が完成させた作品が、大衆娯楽作品を目指す奥山としては納得できない出来だったためだ。奥山は撮り直しを命じたが、黛監督はこれを拒否。そこで急遽、奥山自身がメガホンを取り、黛版の実に約70%に及ぶシーンを撮り直したのだ。

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