難病「プロジェリア症候群」による4歳なのに80歳の風貌! 差別と貧困に喘ぐリアル「ベンジャミン・バトン」の過酷な人生=バングラデシュ

 バングラデシュに、ブラッド・ピット主演の映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を連想させる子どもがいる。この映画では、主人公ベンジャミンは老人として生まれ、成長するにつれてどんどん若返り続けるというストーリーが展開される。しかし、バングラデシュのマグラに住むバヤジット・ホサイン君(4歳)は、映画とは逆に、人より何倍も早いスピードで年を取っている。


■400万人に1人の難病「プロジェリア症候群」

 バヤジット君は、4歳にもかかわらず80歳の老人のような外見だ。これは「プロジェリア症候群」と呼ばれる、稀な先天的遺伝子異常を患っているため。つまり、彼は「早老症」を抱えているのだ。しかしバヤジット君の苦難はそれだけに留まらず、「皮膚弛緩症」も同時に罹っている。そのため、全身の皮膚が垂れ下がり、眼は落ちくぼみ、関節痛、排尿困難、歯も劣化しており、老人のような外見に一層拍車をかけている。

 この「早老症」は、新生児において約400万人に1人、幼児期にも約900万人に1人の頻度で発症し、1.5対1の比率で男児に多い。患者の平均寿命は13歳といわれ、心臓発作、もしくは脳卒中で死亡するケースが多い。

難病「プロジェリア症候群」による4歳なのに80歳の風貌! 差別と貧困に喘ぐリアル「ベンジャミン・バトン」の過酷な人生=バングラデシュの画像1Daily Mail」の記事より

 バヤジット君が生まれた時、母親のトリプティさん(18歳)と父親のラブルさん(22歳)は大きなショックを受けた。我が子はまるでエイリアンのようで、見るのも怖かったと振り返っている。そして医師は、「このような子どもは見たことがない」「何もしてあげられることはない」と言い放ったという。

 夫婦が病院から家に戻った後、バヤジット君のニュースはすぐに周囲へと広まり、隣人たちは家の外に列を作って彼の姿を見ようとした。とはいえ人々はバヤジット君に近づくことを拒み、しばしば両親がいとこ(従兄妹)ではないかと噂した(現在でもバングラデシュの農村部では、いとこ同士の結婚がそれほど珍しくはない)。しかし、そんな隣人たちも最近はようやくバヤジット君の外見に慣れ、愛情を込めて彼を「老人」というあだ名で呼んでいるようだ。

 トリプティさんは、バヤジット君について「身体的にも精神的にも同年齢の子どもより早く発達した賢い子」だと話す。しかし、バヤジット君は学校に通っていない。ほかの子どもたちが怖がるためだ。彼は自分の状況を理解しているが、そのことについて決して話したがらない。そして辛い時には、ただただ泣くのだという。

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